膜性増殖性糸球体腎炎・尿と病気

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膜性増殖性糸球体腎炎

膜性増殖性糸球体腎炎/尿と病気


     
§1  膜性増殖性糸球体腎炎とは/膜性増殖性糸球体腎炎/尿と病気


      
全ての年齢層に確認されますが、20歳以下に多く発症している特徴があります。膜性増殖性糸球体腎炎

      (MPGN)は殆んどの症例に認められるものとして、 糸球体にメサンギウム組織の増殖、基質増加、糸球

      体係蹄壁が肥厚し、糸球体基底膜が二重構造となる特徴があります。低補体ネフローゼ症候群を呈しま

      す。確定は腎生検で行われ、病型はMPGN・T(基底膜内皮下やメサンギウム領域に免疫複合体様沈着

      物を認めるもの)、 U(肥厚糸球体糸球体基底膜中心部に高電子密度の帯状、紡錘状沈着物が認められ

      るもの)、V型(T型の亜型、内皮下以外にも上皮下にも沈着物を多数認める)があります。膜性増殖性糸

      球体腎炎の予後は不良ですが、早期の発見、治療により、その成績は改善傾向にあります。




          -糸球体・機能模式図-







     
§2  膜性増殖性糸球体腎炎の症状/膜性増殖性糸球体腎炎/尿と病気


       
症状は多彩で、無症候性蛋白尿、無症候性血尿ネフローゼ症候群、急性発症(急性腎炎様)などがありま

       す。 約半数はネフローゼ症候群症状を初診時に呈し、その他も、蛋白尿を中等度以上示します。成人の場

       合には、 6ヶ月以上の治療を施しても、完全寛解〜不完全寛解T型に到達しない難治性ネフローゼ症候群

       が1割を占めます。
血尿も殆んど全症例で認められ、10〜20%程度は肉眼的血尿を認めます。 (難治性

       ネフローゼ症候群は その60〜70%の高率で腎不全に至る疾患です。) 30〜50%の症例に、軽い高血圧

       を合併します。

MPGN T型 MPGN V型 MPGN U型
電子顕微鏡 主に内皮下の.DMI(+4) 主に上皮下の.DMI(+〜+3) 基底膜緻密層内の.D(リボン状、帯状、紡錘状)Ml(+〜+2)
光学顕微鏡 メサンギウム細胞及び基質の増加
糸球体係蹄の肥厚
基底膜二重構造化
MPGN T型に比してメサンギウム増殖、基底膜変化共に軽い事が多い。
蛍光抗体 主に補体C3が係蹄壁とメサンギウム領域に認められる。特に糸球体周辺に強い蛍光(fringe pattern)を呈する。IgG、IgM、IgA、C1qの沈着もみられる。 免疫グロブリン沈着を伴なわない補体C3のメサンギウム領域の沈着。係蹄壁は蛍光が弱い。
                                                                 by WHO分類

        .D;electron dense deposit 電子密度が密な沈着物

        MI;mesangial interposition メサンギウム細胞の間入





     
§3  膜性増殖性糸球体腎症の検査/膜性増殖性糸球体腎症/尿と病気


       特徴的なのは、一過性か持続性の補体の低下で、T型では約50%、U型では60〜70%に認められます。

       急性腎炎様発症例で、 持続的低補体血症を8週以上に及ぶ様なケースの場合、膜性増殖性糸球体腎症を

       疑う必要があります。 その他、検尿では、 ネフローゼ症候群同様の卵円脂肪体、硝子様円柱、腎炎様症状

       (赤血球、白血球、腎上皮、細胞性or顆粒円柱)を伴なう沈渣異常を認めます。膜性増殖性糸球体腎炎の場

       合、 全身性エリテマトーデス、感染症、悪性腫瘍など(以下の表)の場合にも、同様の類似疾患(組織像)が

       認められるために、それらとの鑑別も必要になります。

全身性疾患 全身性エリテマトーデス、クリオグロブリン血症、紫斑病性腎炎、L鎖沈着症
感染症 細菌感染症/細菌性心内膜炎、シャント腎炎
寄生虫感染/マラリア、フィラリア、シストゾミア
ウィルス感染症/B型肝炎、C型肝炎、後天性免疫不全症候群
悪性新生物 白血病、リンパ腫、上皮細胞性癌、骨髄腫
その他 先天性補体欠乏症、α1-アンチトリプシン欠損症、溶血性尿毒症症候群、関節リウマチ、partial lipodystrophy、サルコイドーシス






     
§4  膜性増殖性糸球体腎炎の治療/膜性増殖性糸球体腎炎/尿と病気


       抗凝固/抗血小板療法、副腎皮質ステロイド・パルス療法免疫抑制療法などを単独、或いは併用して用いる

       療法などがあります。膜性増殖性糸球体腎炎の治療法として確立されたものはありません。長期療養に伴な

       い、食事療法や、運動制限、妊娠など多岐に亘る生活指導、管理も必要になります。 予後不良因子としては、

       組織学的な半月体形成進行例、糸球体硬化進行例、間質線維化の進行例、ネフローゼの持続例、高血圧発

       見時点での腎機能低下例などが指摘されております。




       
* パルス療法;強力免疫抑制療法/副腎皮質ホルモン(メチルプレドニゾロン)を大量衝撃静注します。

       
* 免疫抑制療法;ステロイドが好を奏さない、ネフローゼ症候群症候例、進行性の腎機能低下を示す例などに

       用いるケースが多い。免疫抑制療法は細菌やウィルスに対する抵抗力を弱めるため、敗血症などの重篤な感

       染症を引き起こす危険性が高くなるため、感染症などには充分な注意が必要になります。 微量免疫型は高齢

       発症例が多く、免疫抑制療法施療中に感染症を併発し易い。











     
* MPGN;membranoproliferative glomerulo-nephritis 膜性増殖性糸球体腎炎


     
* 二重構造;内皮細胞と糸球体基底膜の間にメサンギウム細胞が入り込む構造体を形成する。









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