糸球体腎炎・尿と病気

                                 糸球体腎炎/尿と病気
尿のメモ帳 ページへ
 home(尿と病気)/糸球体腎炎              糸球体腎炎/尿と病気

糸球体腎炎


糸球体腎炎/尿と病気



     
§1  糸球体腎炎とは/糸球体腎炎/尿と病気


      
急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎をご紹介させて頂いております。急性糸球体腎炎は腎臓の糸球体に起き

      る急激な炎症の事ですが、慢性糸球体腎炎は急性糸球体腎炎から移行したもの以外にも、原因の特定でき

      ないものや、何らかの糸球体腎炎以外の基礎疾患(膠原病、糖尿病、痛風、腎盂腎炎など)が原因で糸球体

      が障害され、尿の異常や高血圧などの症状を来たすものです。





     
§2  急性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


      
§2−1 急性糸球体腎炎の症状/急性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気



急性糸球体腎炎は腎臓の糸球体に起

きる急激な 炎症の事です。 急性咽頭

炎、 急性扁桃炎、 風邪など 上気道の

感染症が 治ったと思ってから 1〜2週

間程度 経過した後に、 症状が 急激に

出現する 糸球体の炎症です。 症状は

血尿 (肉眼的血尿、顕微鏡的血尿。患

者さんの1/3にみられます)、乏尿、時

無尿蛋白尿
、 むくみ(顔、上肢、下

肢など/余分な水分が 体内に溜まるた

め、 血液量が増える、心臓が肥大する、

肺に水が溜まる、体重が増加する事もあります。)、高血圧(小児は高血圧脳症による痙攣もあります。)

などです。IgA腎症との鑑別も必要になります。






      
§2−2 急性糸球体腎炎の原因/急性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       急性糸球体腎炎は成人よりも、どちらかと言いますと3〜10歳位の小児に多い特徴があります。急性咽頭

       炎や急性扁桃炎、 風邪などを契機にして、上気道感染後しばらくの後、あるいは発熱後腎炎の症状が現れ

       ます。 原因となる感染症の中ではA群β溶連菌の感染症が最も多く、ブドウ球菌、肺炎球菌、ウィルスなど

       も原因になります。細菌やウィルスに感染しますと、それを排除するために体内で抗原に対する抗体が出来、

       この抗原と抗体が結合した 免疫複合体が結果的にできます。 これが血流に乗り、腎臓に運ばれる事により、

       糸球体に付着して 炎症を起こします 。糸球体で炎症を起こしますと、 血流が低下し血液のろ過が阻害され、

       不要な水分や老廃物が排泄されなくなります。すると基底膜(糸球体の毛細血管にあるフィルター)が損傷し、

       赤血球や蛋白質などは漏れ出してしまい、尿中に排泄されてしまいます。 子供さんが咽頭炎や扁桃炎や風

       邪などで治った後に、ぶり返しの様な症状に気付いた時には、注意が必要です。





      
§2−3 急性糸球体腎炎の検査/急性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       
尿検査血尿蛋白尿尿沈渣を調べます。


       
血液検査血清尿素窒素血清クレアチニンクレアチニン・クリアランスで腎機能を調べます。


       
細菌検査;上気道や皮膚などの細菌検査や血液中の抗体の量、血液中の補体検査(防御因子の量の確認)

       も確認します。





      
§2−4 急性糸球体腎炎の治療/急性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       安静第一にして、入院治療か自宅安静かになりますが、急性期、強い症状の1〜2ヶ月はこれを厳守します。

       それにより安静時の血流量は、活動期の血流量の1/3〜1/2になります (急性期は高血圧にもなりますの

       で、安静が大切です。)その上で食事療法、薬物療法という事になります。 食塩と水分の摂取制限、蛋白質

       摂取制限などもあります。 食事療法や薬物療法により、早い人では、1週間程度でむくみや尿量、高血圧が

       改善されてきます。 血尿や蛋白尿は2〜3ヶ月続く事が多く、治療は検査で、経過観察しながらという事にな

       ります。 軽い運動、散歩などは、 血尿や蛋白尿が改善し、日常生活がほぼ、行える状態になってからという

       事になりますが、医師の指導の下で、少しずつ健康時の生活に戻して行きます。1年間程度は激しい運動や、

       妊娠を避けます。 早ければ、2ヶ月程度で仕事に復帰、 学校に復帰出来る様にはなります。当分の間は、過

       労禁物、残業厳禁、身体を労わらなければなりません。無理は絶対に避けましょう。その間、定期的に血尿や

       蛋白尿などで経過観察が必要になります。



       
食事療法;塩分、水分、蛋白質の摂取を厳しくコントロールする必要があります。入院している場合には、病院

       でコントロールされますので、 問題はありませんが、自宅療養の場合、(医師の指示に従い)急性期は塩分は

       一切取ってはいけません。むくみが改善し、尿量が増えてきましたら、3〜5g/日 までの制限でコントロールし

       ます。水分は急性期は尿量に応じた量に留める事になります。 改善してきてから、徐々に増やします。蛋白質

       は、急性期は0、6〜0、8g/Kg・体重 で計算し、回復期には1g/Kg・体重 まで増やせます。


       
薬物療法;尿量が少ない時には利尿薬を使い、高血圧には降圧剤も必要になります。感染症を考慮しなけ

       ればならない場合には、抗生物質や抗菌薬を投与される事もあります。










     §3  慢性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


      §3−1 慢性糸球体腎炎とは/慢性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       慢性糸球体腎炎は、必ずしも急性糸球体腎炎が慢性化したものばかりでは有りません。慢性糸球体腎炎は、

       腎臓の糸球体に慢性的な炎症を起こしているもの全般をさしております。中でも、原因の明らかでないものが

       最も多く、自覚症状も殆どありません。しかし、血尿蛋白尿などが出るケースも有りますので、見逃さないよ

       うに注意する必要があります。原因となる病気がなくても、発症する原発性のものと、全身性エリテマトーデス

       などの病気が原因のものもあります。 それらは慢性腎炎症候群と称され、 IgA腎症、紫斑病性腎炎、瀰漫性

       増殖性糸球体腎炎、 膜性腎症、膜性増殖性腎炎、微小変化群、巣状糸球体硬化症などが属します。慢性糸

       球体腎炎は完治が難しく、病気の進行は、様々な経過をたどります。 (進行が緩やかで、腎機能が低くても安

       定している。 確実に進行して、腎機能が低下して行く。 急激に進行し、一気に悪化する。 など)腎機能自体は、

       加齢に伴ない、腎臓が硬くなる、 高血圧・糖尿病などの基礎疾患で低下する、など若いときには比較的保たれ

       ていた腎機能も、その様な状況の変化があるため、注意が必要になります。WHOでは、慢性腎不全は組織片

       や症状の違いから微小変化型分節性巣状瀰漫性IgA腎症メサンギウム増殖性糸球体腎炎膜性増殖

       性糸球体腎炎半月体形成糸球体腎炎硬化性糸球体疾患と分類しています。(CKD慢性腎臓病も御参考に

       ご覧下さい。)





      
§3−2 慢性糸球体腎炎の症状/慢性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       慢性糸球体腎炎は自覚症状の希薄な疾患で、殆ど無いと思われますが、蛋白尿については、必ず出現す

       る症状と考えられております。高血圧も出ますし、尿蛋白は多いほど透析になるケースが多いとされており

       ますし、血圧は高いほど進行が速い事もわかっております。 その他、血尿などの症状もでます。もしも、む

       くみやだるさなどの症状が自覚される様ですと、すでに腎機能はかなり低下しており、その場合には腎不全

       に至っているケースは、かなり多いとされております。 出来るだけ腎不全に至る前の段階で、留めることは

       非常に重要な事になります。





      
§3−3 慢性糸球体腎炎の治療/慢性糸球体腎炎/糸球体腎炎/尿と病気


       慢性糸球体腎炎は、糸球体のろ過膜とメサンギウム細胞に変化が起こり、蛋白尿が出ます。慢性糸球体腎

       炎は、 長い年月をかけて、腎機能が徐々に低下して腎不全に至るものがあります。 治療は生涯に亘って続

       けなければなりません。 勿論、食事はとても大切な療法になります。 腎機能を維持するために、ご自分のた

       めに、是非食事療法を受け入れて、継続して下さい。 慢性腎不全に陥りますと、透析療法や、腎移植など厳

       しい経過をたどる事も 考えられます。
食事療法は症状の有無や程度、 原因疾患の有無により、人夫々異な

       ります。 症状が安定している(腎機能の低下が見られず 、高血圧が無く、むくみなどが認められない)時には、

       塩分は5〜8g程度で摂取エネルギーも 30〜35Kcal/kg・体重・日、蛋白質0、6〜1、0g/kg・体重・日、水分

       は1500〜1700ml/日の食事療法で良いのです。 が、腎機能が低下している、むくみが有り、高血圧症状が

       現れる様な時には、塩分は1、5〜3、0g/kg・体重・日、カリウムを含む食品も控え、蛋白質は0、6g/kg・体重・

       日、水分は医師の指示に従うなど状況(検査値など)により、変動します。 また、高血圧、糖尿病、痛風などの

       基礎疾患がある人は、 その人に適う 適切な食事療法を、 医師から指示を受けて、遵守して下さい。食事療法

       で注意が必要なのは、(これらの制限を守る事ですが、) 低蛋白食の場合、 エネルギー不足に陥り易く、その

       場合には、 体内に蓄えられている蛋白質をエネルギー源にしてしまい、 結果的に増えた老廃物が、腎臓に負

       担をかける結果になってしまう事です。従いまして、そうならない様に低蛋白、高エネルギーを守る事が大切に

       なります。定期的な検査に加え、禁煙し、飲酒など医師と良く相談して決めて行く事が大切です。








     
* 溶連菌感染症;発熱、喉の腫れ、喉の痛み、頭痛、吐気などの症状が現れます。上気道感染後、紅い小さな

     発疹が、身体のあちらこちらに発現します。この後、7〜10日程度で急性糸球体腎炎を発症します。溶連菌感

     染症は小児多い病気です。 従い溶連菌感染症後の急性糸球体腎炎は小児に多く発症しますが、溶連菌感染

     症自体が早期に、完治しておりますので、急性糸球体腎炎も減少傾向を示しています。感染症に罹る事により、

     体内に抗体ができますが、この抗体が抗原と結合し糸球体に沈着し、炎症を起こします。



     
* 急性腎炎症候群;急性糸球体腎炎、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、溶連菌以外の急性糸球体腎炎(管内増

     殖性糸球体腎炎)、IgA腎症半月体形成性腎炎膜性増殖性腎炎ループス腎炎、紫斑病性腎炎、デンスデ

     ポジット病、結節性多発動脈炎、ウェジナー肉芽腫症、遺伝性腎炎(アルポート症候群)などがあります。



     
* 慢性腎炎症候群;慢性糸球体腎炎、巣状・瀰漫性メサンギウム増殖性腎炎(IgA腎症、IgA腎症以外のメサン

     ギウム増殖性腎炎)、膜性腎症、膜性増殖性腎炎、巣状糸球体硬化症、ループス腎炎、遺伝性腎炎などがあり

     ます。



     
* 微小変化型;光学顕微鏡で確認しても、異常は認められない。しかし、急速に蛋白尿と低蛋白血症が進行して

     しまいます。



     
* 分節性;糸球体の一部が変化してしまいます。



     
* 巣状;腎臓の一部が変化してしまいます。



     
* 瀰漫性;腎臓の糸球体全体が変化してしまいます。



     
* IgA腎症;IgAが主にメサンギウム細胞に沈着してしまうために腎臓は障害されてしまいます。



     
* 膜性腎症;糸球体の基底膜が厚く変化してしまいます。



     
* メサンギウム増殖性糸球体腎炎;メサンギウム細胞(糸球体の毛細血管を支えている)の数が増殖してしまい

     ます。



     
* 膜性増殖性糸球体腎炎;糸球体の基底膜が厚く変性し、メサンギウム細胞の増殖が確認される様になります。



     
* 半月体形成性糸球体腎炎;腎生検で半月体が認められます。進行が速い。



     
* 硬化性糸球体疾患;糸球体が塊になってしまいます。



     
* CKD慢性腎臓病/chronic kidney diseaseは糖尿病性腎症や高血圧性の腎障害、慢性糸球体腎炎(IgA腎

     症など各種)などを総称したもの。尿の異常(特に蛋白尿)、画像診断、血液検査、病理検査で腎障害の存在が

     明らかである。GFR<60ml/min/1.73uのいずれか、或いは両方の条件を3ヶ月以上継続しているものがCKD

     です。


      
CKDのステージ
stage comment GFR(ml/min;1.73)
stageT 腎障害はあるが、GFRは正常or亢進 90以上
stageU 腎障害があり、GFRが軽度上昇 60〜90
stageV GFRが中等度低下 30〜59
stageW GFRが高度低下 15〜29
stageX 腎不全 15未満











 home(尿と病気)/糸球体腎炎


◎ 尿の目視外観や匂い、排尿量、排尿感覚など五感に関連した項目
尿性状 排尿量 排尿困難関連疾患 残尿感関連疾患
血尿 多尿 尿路結石 前立腺肥大症
泡立ち尿 乏尿 尿道結石 前立腺炎
濁り尿(混濁尿) 無尿 膀胱結石 膀胱炎
匂い尿 尿閉 前立腺肥大症 神経因性膀胱
尿一般 神経因性膀胱 尿路感染症
前立腺癌 膀胱結石
.ヘルペス
膀胱癌
尿道癌
排尿一般 誤判断症状(他疾患と間違い易い症状) その他
排尿困難 背部・側腹部痛 残尿感
排尿痛 下腹部痛 頻尿
一般排尿症状 発熱 尿もれ(尿失禁)
過活動膀胱
骨盤臓器脱
腹圧性尿失禁
切迫性尿失禁
溢流性尿失禁
◎ 尿に関連した尿周辺情報
尿関連検査 その他の関連疾患・情報
尿検査 腎機能検査 前立腺肥大症 尿路上皮癌
尿流動態検査 内視鏡検査 前立腺癌 膀胱腫瘍/膀胱癌
腎盂〜尿道検査 腎盂尿管癌
排尿機能検査 内分泌機能検査 尿道腫瘍
前立腺検査 副腎皮質腫瘍
一般画像検査 尿路結核 腎癌(腎臓癌)
その他検査 血液検査 尿路感染症
腎動静脈瘻
腎梗塞
その他の尿関連情報 腎盂腎炎 腎静脈血栓症
尿のメモ帳 透析 急性糸球体腎炎 腎嚢胞
経尿道的手術 慢性糸球体腎炎 腎動脈瘤
化学療法 腹腔鏡下手術 IgA腎症 腎硬化症
放射線療法 腎臓移植 急速進行性糸球体腎炎 腎不全
尿路変更 ループス腎炎 ネフローゼ症候群
尿細管・間質性腎炎 微小変化型ネフローゼ
膜性増殖性糸球体腎炎 痛風腎
半月体形成性腎炎 多発性嚢胞腎
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
糖尿病
糖尿病性腎症 クラミジア感染症
尿道炎非クラミジア非淋菌性
慢性腎臓病CKD 間質性膀胱炎



(C)allright reserved -尿と病気-