ネフローゼ症候群・尿と病気

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ネフローゼ症候群


ネフローゼ症候群/尿と病気


     
§1  ネフローゼ症候群とは/ネフローゼ症候群/尿と病気


      
ネフローゼ症候群は尿に大量の蛋白が出たり、血液中のアルブミンの低下、高コレステロール血症、むくみ

      などの要件を満たしたものをいいます。従い、ネフローゼ症候群というのは病名では有りません。ネフローゼ

      症候群には、原発性ネフローゼ症候群と続発性ネフローゼ症候群があります。


     
ネフローゼ症候群
原発性糸球体疾患 全身性疾患に伴なう糸球体疾患 遺伝性糸球体疾患
微小変化 ループス腎炎 先天性ネフローゼ症候群
巣状糸球体硬化症 シェーンライン-ヘノッホ病性腎炎 アルポート症候群
膜性増殖性糸球体腎炎 その他 その他
膜性腎症
IgA腎症
その他




     
* 関連検査値・基準値

     蛋白尿血清アルブミン尿沈渣血清総蛋白血清総コレステロール





     
§2  原発性ネフローゼ症候群の概要/ネフローゼ症候群/尿と病気


       
原発性ネフローゼ症候群は腎臓そのものに起因するもので、ネフローゼ症候群の大半は原発性(小児では

       全体の90%、大人でも全体の70%)です。原発性ネフローゼ症候群には、4つの型に分類されております。

       ネフローゼ症候群が疑われる場合には、腎臓病以外の病気が原因となっていないのかも確認され、その上

       で腎生検も行われます。


       
微小変化型;微小変化型は光学顕微鏡では異常が認められませんが、急速に蛋白尿と低蛋白血症が進行

       して、強いむくみが出ます。ステロイドの投与が中心になります。小児に多いが、大人も40%がこのタイプで

       す。糸球体の変性は少なく、治る事が多いが、再発も多い


       
膜性腎症;成人、特に中高年男性に多い。有効な治療薬が少ないが、軽快すればあまり再発はしません。糸

       球体の基底膜が厚くなる(抗体と抗原が結合した免疫複合体が基底膜に沈着するため) 特徴があり、約2/3

       の人がネフローゼ症候群になります。


       
巣状分節性糸球体硬化症;どの世代の人にも発症しますが、症例はあまり多くはありません。糸球体の一部

       が硬化する。 部分的な硬化のため、腎生検ではその部位を生検出来ない場合には、微小変化型と誤診され

       てしまう可能性もあります。ステロイド療法が中心ですが、大量のステロイドを使用しませんとあまり効きませ

       ん。シクロホスファミドやシクロスポリンなども薬剤を使う事もあります。この疾患でネフローゼになりますと急

       速に進行してしまいます。大量の蛋白尿(高分子量〜小分子量の幅広い蛋白に亘り、漏出量も10000r/日 

       確認される事さえあります。)や、脂質異常症も強く出現します。


       
膜性増殖性糸球体腎炎;小児〜20歳前後位の人に起こります。有効な治療薬が無い、治療法の難しい疾

       患です。 慢性腎不全から透析療法への経過をたどるケースが多い。 蛋白尿、低蛋白血症、むくみ、脂質

       異常症、 高血圧、血尿などが起こります。 基底膜に免疫グロブリン補体などが沈着するために厚くなり、

       血液中の補体は漏出により低下します。低補体血症は初診時には約半数に認められますが、経過観察中

       には、それが90%程度まで認められるようになるとされております。メサンギウム細胞の増殖も認められま

       す。発生頻度は少ない。T型/内皮細胞に起きる、U型基/底膜に起きる、V型/基底膜・内皮細胞に起きる 

       3タイプがあります。治療はパルス療法、免疫抑制剤、抗凝固薬、抗血小板薬などの投与になります。


            -糸球体機能模式図-





     
§3  続発性ネフローゼ症候群/ネフローゼ症候群/尿と病気


       膠原病(全身性エリテマトーデス/SLEなど)や糖尿病性腎症、アレルギー、悪性腫瘍、ループス腎炎、血管

       炎によるヘノッホ・シェーンライン紫斑病(アレルギー性紫斑病)、アミロイドーシス、クリオグロブリン血症など

       が原因で起こすものです。 その他にも、B型肝炎、C型肝炎、溶連菌・HIVの感染、梅毒、寄生虫、ご高齢の

       方では癌、多発性骨髄腫、リンパ腫などが原因でも起きる事も報告されております。 最も多い原因疾患は糖

       尿病性腎症で、次いで全身性エリテマトーデスに併発するループス腎炎です。







     
§4  ネフローゼ症候群の症状/ネフローゼ症候群/尿と病気


       ネフローゼ症候群の4大症状は
蛋白尿、低蛋白血症、むくみ、(高脂血症)脂質異常症です。大量の蛋白が

       尿に漏れ出ます。大量の蛋白尿で尿は、まるで石鹸水を混ぜた様に泡立ち、その泡もなかなか消えません。

       蛋白は健康な人でも尿中に確認(100mg〜/dl・日)されますが、 ネフローゼ症候群の場合には3500mg/dl・

       日とその量は20倍〜30倍以上程も多く確認され、持続します。 身体に必要な蛋白質が失われる事もあり、

       血液も低アルブミンとなります。 これにより、血管の浸透圧も影響を受けるほどで、血液内の水分が血管の

       外に移動してしまいます。そうしますと、むくみが全身に及ぶようになります。むくみによる体重増加や、胸水

       や腹水が溜まり、咳や息苦しさを覚える様になります。これが悪化しますと心臓は圧迫され、鬱血性心不全

       になる事もあります。更に、体内の蛋白質不足を補うために、肝臓は蛋白質を生成しようとします。その過程

       で、蛋白質はコレステロールや中性脂肪と結合し、 リポ蛋白を生成してしまい、脂質異常症になる事も多い。

       (血液中のコレステロールが増加するため)血液中に血栓も出来易くなり、それにより、腎静脈血栓症、肺塞

       栓症を引き起こすリスクもたかくなります。 血液中の免疫グロブリンは大量に失われ、免疫力が低下する事

       により、感染症にも罹り易くなります。





     
§5  ネフローゼ症候群の検査/ネフローゼ症候群/尿と病気


       尿検査では、蛋白尿の程度を確認します。尿沈渣では、特徴的な卵円形脂肪体が混じっている事も確認され

       ます。 血液検査では血清総蛋白、血清アルブミンの量を確認します。本来、血液中の蛋白にはアルブミンや

       グロブリンが含まれていますが、ネフローゼ症候群の場合には、アルブミン量は極端に低値を示します。

       血清総コレステロールにより、ネフローゼ症候群の合併症である脂質異常症の確認します。その他腎生検や

       むくみなどの検査もいたします。


     
ネフローゼ症候群の診断基準

成人 小児
蛋白尿 3500mg/dl・日以上 持続する 3500mg/dl・日ないし0.1g/体重1kg。or早朝起床時の蛋白尿が300mg/dl以上を3〜5日持続する。
低蛋白血症 血清総蛋白が6.0g/dl以下。or低アルブミン血症で、血清アルブミンが3.0g/dl以下。 血清総蛋白が学童・幼児で6.0g/dl以下、乳児は5.5g/dl以下。血清アルブミンが学童・乳児で3.0g/dl以下、乳児は2.5g/dl以下。
脂質異常症 血清総コレステロールが250mg/dl以下。 血清総コレステロールが学童は250mg/dl以上、幼児は220mg/dl以上、乳児は200mg/dl以上。
むくみ 認める 認める
蛋白尿と低蛋白血症(低アルブミン血小は必須条件。脂質異常症とむくみは診断上の参考要件






     
§6  ネフローゼ症候群の治療/ネフローゼ症候群/尿と病気


       まず安静が第一になります。安静だけで症状はかなり改善されます。体は冷えない様に保温にも努めます。

       ネフローゼ症候群の療法は微小変化型は腎臓の組織の病変が軽度で、ステロイドの反応性が良好なため、

       微小変化型だけは、他のタイプよりも厳しい制限をしなくても良い場合があります。そのため、ネフローゼ症

       候群では微小変化型と他のタイプに分けて考慮されます。





     
ネフローゼ症候群の食事療法

微小変化型ネフローゼ症候群 微小変化型以外のネフローゼ症候群
摂取エネルギー 標準体重1kg当たり、1日に35kcalで計算する。 準体重1kg当たり、1日に35kcalで計算する。
塩分(食塩) 0〜7g。むくみが強い時、乏尿が有る時は一切摂取しない。むくみが有るが尿は出ているときは3〜5g以下 1日に5g以下。むくみが強い時、乏尿が有る時は一切摂取しない。
蛋白質 標準体重1kg当たり、1日に1、0〜1、1gで計算する。 標準体重1kg当たり、1日に0、8gで計算する。
カリウム 血清カリウム値によって増減する。 血清カリウム値によって増減する。
水分 制限なし。但し、むくみが強い時、乏尿の時は前日の尿量+500ml以下にする。 制限なし。但し、むくみが強い時、乏尿の時は前日の尿量+500ml以下にする。
                                                                 日本腎臓学会編


       ネフローゼ症候群の場合は、尿中に大量の蛋白質が漏れ出してしまいますので、血中の蛋白質は不足して

       しまいますが、 それを補おうと 大量に蛋白質を摂取してしまいますと、 腎臓に負担をかける結果になります。

       蛋白質の摂取には、 良質な蛋白質(卵や牛乳、乳製品など) を適正量とる様に注意しなければなりません。






       
ネフローゼ症候群の薬物療法;ステロイドや免疫抑制剤を使います。特に小児の微小変化型はステロイドが

       良く効きます。 微小変化型は光学顕微鏡では異常が認められませんが、急速に蛋白尿と低蛋白血症が進

       行して、強いむくみが出ます。薬物の量は医師の指示に従いましょう。脂質異常症に対応する薬物や、血栓

       に対応するために、抗凝固薬や抗血小板薬を、 むくみに対応するために、利尿薬など薬剤を数種類組み合

       わせて使用します。








     
* アミロイドーシス;アミロイドが身体の各部位に沈着する病気です。アミロイドが腎臓に沈着しますとネフローゼ

     症候群の原因になります。アミロイドは蛋白と多糖類の複合体です。



     
* シクロホスファミド


サイクロフォスファマイド
(シクロホスファミド)CPA

副作用/吐き気・嘔吐、発熱、脱毛、泌尿器障害、女性では無月経、弾性では.生産の停止が起こる事がある。大量投与、長期投与ではめまい、動悸・息切れ、骨髄抑制も増強したり、まれにアナフィラキシー(急性アレルギー症状)や体内抗利尿ホルモンの過剰、心不全を引き起こす。膀胱に刺激を与えるため、投与の翌日から数日の間に出血性膀胱炎を起こす事があります。まれに肺線維症や間質性肺炎、腸閉塞などが起こる事もあります。
注射薬・経口剤

治療適応/多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、乳癌、白血病、真性多血症、肺癌、子宮癌、卵巣癌、骨肉腫、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、.腫瘍、絨毛癌、横紋筋肉腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、ユーイング肉腫、網膜芽腫、神経芽腫、肺癌など
世界中で多用されてきた抗癌剤、小細胞肺癌(CAV療法)、非ホジキンリンパ腫(CHOP療法)、ホジキン病(C-MOPP療法)などで通常点滴による静脈注射で患者の体調や癌の種類により筋肉注射、腹腔内・胸腔内へ注入する事もある。錠剤は空腹時投与、造血幹細胞移植の前処置で大量投与する場合は泌尿器障害を防ぐためにメスナ(予防薬)や輸液を投与する。放射線との併用では骨髄抑制が増強し、糖尿病のインスリン使用者は血糖値効果が強まるので注意が必要。当剤とペントスタチンの併用で心毒性の危険性があり、死亡例の報告もある。本剤の成分により、重い過敏症を起こした事のある人、重い感染症に罹っている人は使用できません。催奇形性の疑いがあり、妊婦や妊娠の可能性のある人は使用を避ける事が望ましく、授乳は中止してください。












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