血尿・尿と病気

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血尿と考えられる病気


血尿/尿と病気


     
§1  血尿とは/血尿/尿と病気


      
血尿は尿中に血液(赤血球)が混在する状態です。どんな健康な人でも、時として尿が色づく事が有ります。

      運動や発汗、発熱時など、尿が変色した経験のある方も おありではないでしょうか。 この様な一過性の場

      合には心配有りませんが、排尿の初期に血尿が出る、排尿の終わりの方で血尿が出る、あるいは最初から

      最後まで血尿であるなど、 同じ血尿でも、 その状況や程度に個人差があり、病気の予兆を知らせる場合も

      あります。 更に、血尿は痛みを伴う場合や、痛みを伴わないなど、一様でない多様な出現もいたします。








     
§2  血尿の程度/血尿/尿と病気


       
血尿は肉眼的血尿と顕微鏡的血尿があります。顕微鏡的血尿で重要な疾患として考えられますのは、尿路

       の癌(膀胱癌など)、尿路結石が代表的な疾患です。一方、肉眼的血尿は文字通り肉眼で血尿と判断される

       もので、 その血尿であると判断できる限界は0.1%といわれております。 これは下図の中の段階で1に相

       当するものです。



血尿の程度は、患者さんにより様々な表現で訴求

されますが、その様なまちまちな表現では無く、血

尿の比色法として5段階でその程度を示す方法が

あります。医療機関ではこの方法を採用する施設

が増えておりますので、 この5段階法による定性

的・客観的な方法で 表現される事が望ましいと思

います。


赤っぽい色や茶色っぽい色は血尿を疑いますが、急性慢性腎炎や特発性腎出血、腎臓癌、腎結石、腎結

核などが考えられます。


一般性状検査


尿色調異常

色調 原因 特記事項
赤色 血尿(赤血球尿) 煙状の混濁、遠心後分離沈殿。
ヘモグロビン尿 均一で遠心後沈殿は見られない。潜血反応陽性、放置すると黒色化する。
ミオグロビン尿 同上
ポルフィリン尿 紫外線を当てると赤紫色の蛍光を発する。時に赤ブドウ酒色になる。
フェノールスルホンフタレイン、大黄、センナ、リファンピシン、アロエ投与時 アルカリ尿の場合
ビート、アンセピリン、サルファ剤、ラキサトール投与時 酸性尿の場合
暗褐色 メトヘモグロビン尿 放置により黒色調増強
アルカプトン尿 放置、アルカリ性で黒色調増強
メラニン尿 全身転移性の悪性黒色腫
L-ドーパ投与時 放置により黒色調増強









       

     
§3 血尿を伴なう可能性のある病気と随伴症状/血尿/尿と病気


       
血尿には症候性血尿と無症候性血尿という分類法もあります。症候性血尿は下腹部鈍痛や、排尿痛など症

       状を伴うもので、無症候性血尿はなんらの症状を示さない血尿の事です。 以下に症候性血尿の考えられる

       病気が症状毎に示されております。



急性腎炎 むくみ、血圧上昇
腎不全 むくみ、血圧上昇、食欲低下、倦怠感、動悸
腎盂腎炎・腎盂炎 腰・背中の鈍痛、発熱、排尿痛、頻尿
腎臓・尿管結石 腰・腹部などの鈍痛、排尿痛、頻尿、残尿感、尿の濁り、(側腹部痛)
腎梗塞 腰・腹部などの激痛、発熱、嘔吐
膀胱癌 頻尿、排尿痛(排尿の終わり頃)、尿意切迫感
膀胱炎 頻様、排尿痛、残尿感、尿の濁り、(下腹部痛もしくは尿道痛)
尿道炎 排尿痛、糸くず状の浮遊物の確認
前立腺炎 尿の濁り、下腹部の鈍痛、排尿痛、頻尿
前立腺癌 尿量減少、下腹部の鈍痛、排尿痛

        * 血尿を伴なう腎血管系疾患も御参考にご覧下さい。




       尿潜血で陽性であったり、顕微鏡的血尿などがありながら、2次検査を受けても治療不要の診断を受けるケ

       ースもまま、あります。 その中には腎下垂、起立性血尿、膀胱下垂、その他などがあります。腎下垂は右の

       腎臓に多く、痩せている若い女性、胃下垂のある人など、内蔵を固定する組織が弱い人によく確認されます。

       起立性血尿は、 起床時の採尿では陰性ですが、立ち上がったり、激しい運動の後に血尿を認めるものです。

       膀胱下垂は、 いつも尿が膀胱の底に溜まっている場合に、 膀胱鏡で確認しますと、粘膜に紅い斑点が認め

       られるもので、 部分的な炎症や、 若干の出血が予想されるものです。 細菌は確認されません。その他にも、

       更年期以降の女性で女性ホルモンの減少が原因で、 粘膜が薄くなり、出血し易いものなどがあります。これ

       らは、とりあえず経過観察程度で様子をみながら、注意は怠らない様にするというものです。中には軽度の血

       尿で、それは初期の腎炎の可能性もあり、経年の後には、異常が確認される可能性も否定できないので、検

       査を欠かさずに、日頃の食生活や、生活習慣などの注意を怠らない様にしましょう。





     
§4 血尿の状態/血尿/尿と病気


       
肉眼的血尿はその血尿の出方により、ある程度の障害部位を推定する事も出来ます。



全血尿 排尿の最初からずっと最後まで血尿が認められる場合、膀胱or上部尿路(腎・尿管)からの出血が考えられます。悪性腫瘍の可能性も疑われます。無症候性であれば、高齢者男性では膀胱癌、尿管癌、腎盂癌などの上腹部悪性腫瘍が疑われる。(若年者の場合には特発性腎出血が考えられる)
初期血尿 排尿の最初に血尿が認められますが、後半の尿は綺麗な状態の場合には、前部尿道or前立腺部尿道からの出血が考えられます。尿道腫瘍の可能性も考えられます。
終末血尿 排尿の後半くらいから終了直前まで、認められる血尿は膀胱頸部から出血している可能性があります。





     
§5 血尿に関わる検査/血尿/尿と病気


       血尿が確認された場合、その関連疾患は以下の必要と思われる検査により、確認されて行きます。


検尿 蛋白尿陽性 糸球体性疾患
赤血球、白血球、細菌陽性 尿路感染症
赤血球、白血球陽性 結石、腫瘍、尿路感染症
赤血球円柱陽性 糸球体性疾患
細胞診(尿路)陽性 腫瘍
血液検査 末梢血
出血傾向
生化学検査 血清IgA 糸球体性疾患
尿素窒素 糸球体性疾患
クレアチニン
血清クレアチニン
糸球体性疾患
蛋白分画 糸球体性疾患
画像検査 X線検査 腎部骨盤部単純撮影 結石、腫瘍、嚢胞、尿路閉塞確認
排泄性腎盂造影検査 結石、腫瘍、嚢胞、尿路閉塞確認
逆行性腎盂造影検査 結石、腫瘍、嚢胞、尿路閉塞確認
超音波 腎嚢胞、腎腫瘍、腎内血管異常、結石
CT、MRI検査 結石、腫瘍、腎嚢胞
腎動脈造影検査、超音波検査、シンチグラフィ 腎嚢胞、腎腫瘍、腎内血管異常、結石
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