尿路結核・尿と病気

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尿路結核


尿路結核/尿と病気


     
§1  尿路結核とは/尿路結核/尿と病気


      
結核は一時殆ど減少した疾患ですが、近年、結核緊急事態宣言が厚生労働省より発令されるくらいの問題

      になっております。 その後、減少傾向を示したとはいえ、 先進各国に比して高い水準にあり、結核蔓延国と

      称されるほどの状態です。特に結核菌に暴露されていない若い世代の結核の増加と、多剤耐性結核菌の増

      加は大きな問題です。

尿路結核は肺の感染病巣より、何らかの

原因で結核菌が (血行性に)腎臓に到達

して 病巣を形成する事 によるものとされ、

やがて腎杯、腎盂、尿管に結核病巣を形

成します。 これが膀胱に達してしまい膀

胱結核となります。 最初は膀胱結核とし

ての症状(
頻尿、排尿痛などの膀胱炎症

)を呈し、膿尿・血膿尿が確認される様

になります。 膀胱炎症状を繰り返し尿管

や腎盂の変形により、上部尿路が閉塞す

れば、 腰背部痛、発熱、全身倦怠、るい

そうなどの全身症状を来たします。 尿路

結核は 尿からの結核菌の検出により確

認されます。












     
§2  尿路結核の検査/尿路結核/尿と病気



       膿尿の中で、場合により、無菌性膿尿のケースが有りますが、この場合には尿路結核の疑いを持つ事にな

       ります。 尿路結核の患者さんの尿は黄白色に混濁し、尿沈査で多量の白血球が確認されますが、単染色、

       グラム染色による細菌は確認されません。
尿路結核の診断ではX線検査(排泄性腎

盂造影で腎杯の拡張、 変形、空洞形成、

腎盂尿管粘膜の 虫食い像確認)は重要

で、 尿路が閉鎖されますと水腎症を呈し

ます。 腎臓病変の進行により、石灰化を

伴なう萎縮、 漆喰腎なども確認される様

になります。 膀胱も変形し、 萎縮膀胱に

まで至り、膀胱粘膜に潰瘍や結節を認め

る様になります。


       
関連検査値尿沈査


一般検査/基準値
尿沈渣
赤血球(0〜4個/HPF)、
白血球(0〜4個/HPF)、
扁平上皮(0〜1個/5HPF
男、0〜10個/HPF女)、
移行上皮(0〜1個/10
HPF)、尿細管上皮(0〜1
個/10HPF)、卵円形脂肪
体(-)、細胞質封入体細
胞(0〜1個/WF、硝子円
柱(0〜10個/全視野WF)

尿中に各種有形成分の確認され
る状態は病的で、この成分観察
を顕微鏡レベルで確認する。腎
・尿路系及び全身的疾患が疑わ
れるとき検査実施。
腎臓で尿が形成され量路から体外
排泄までに腎・尿路を構成する組
織の細胞、組織で形成される構造
物、及び血球などの有形成分が尿
中に剥離、混入する。健常人には
有形成分は殆ど見られないが病的
状態の場合の特異形態、状況で多
量に確認でき、顕微鏡レベルでの
検査となる。腎・尿路系、全身的
疾患が疑われる時に検査実施。
一般検査/尿沈渣
 基準値
尿路感染症が疑われる場合の採尿は尿道口清拭と中間尿採尿厳守。

女性の場合は膣、.部の分泌液が混入すると誤診する。

採尿後、長時間放置は赤血球、白血球崩壊がある。
赤血球(5〜8μm、腎炎 IgA腎
症、結石、腫瘍など血尿とし
て多量出現、腎糸球体体疾患
では赤血球の形が瘤状変形)、
白血球(10μm程度 膿尿、尿
路感染症の可能性)、
扁平上皮(20〜100μm)、
移行上皮(20〜100μm尿路異
常、特異性はほぼ無い)、
尿
細管上皮
(15〜40μm疾患特異
性は無いが、腎実質に異常が
あれば多量出現)、卵円形脂
肪体
(20〜70μmネフローゼ症
候群、糖尿病性腎症などの尿
蛋白が強陽性時にみられる)
硝子円柱(腎疾患、糖尿病
性腎症、高血圧症などで多量
にみられる)
細胞質封入体細胞(15〜40μm非特
異的、尿路感染症では膿尿に伴い
みられる。インフルエンザなどの
ウィルス疾患でもみられる。)

上皮円柱/ネフロン間質性異常
顆粒円柱/腎障害、大量出現なら急
性・慢性の腎障害、慢性腎不全
ロウ様円柱/腎障害
脂肪円柱/低蛋白血症、ネフローゼ
症候群
赤血球円柱/糸球体腎炎、IgA腎症
、膜性腎症、急速進行性腎炎
白血球円柱/腎盂腎炎、糸球体腎炎
、糸球体及び、間質における炎症
、感染症






     
§3  尿路結核の治療/尿路結核/尿と病気


       中心的な治療としては、抗結核薬になります。ピラジナミド、イソニアジド、リファンピシン、ストレプトマイシン、

       エタンブトールなどを使用します。 例えば、高齢者や肝機能障害のある人に対しては、イソニアジド+リファ

       ンピシン+ストレプトマイシンorエタンブトールの併用で6ヶ月間、 その後イソニアジド+リファンピシンで3ヶ

       月間治療するなど患者さんの状況にあわせた治療が選択されます。 同時に食事や安静などの療法も必要

       です。尿中白血球、尿中結核菌の消失、尿路造影検査などを行い効果の判定がなされます。


       一方、腎結核などで完全に腎機能が破壊されている場合 (出血や腎性高血圧を伴なう様なケース)には、腎

       摘除を行い、 尿管の狭窄、閉塞などにより水腎症などを来たしている様な場合には、 尿管ステントカテーテ

       ル留置などにより尿路を確保し、 それが不可能なケースでは、腎瘻を造設して排尿路を確保する事になりま

       す。両側性の水腎症の進行のケースでは、腎不全を来たしてしまう事による透析も必要となるケースもありま

       す。






















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