腎癌(腎臓癌)・尿と病気

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腎癌(腎臓癌)


腎癌(腎臓癌)/尿と病気


     
§1  腎癌(腎臓癌)とは/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


      
腎癌は腎細胞癌と腎盂癌に大別されますが、腎細胞癌は尿をつくる腎細胞の尿細管に発生するもので、腎

      盂癌は尿をためる腎杯や腎盂に発生します。悪性腎癌の殆どは腎細胞癌です。腎癌は一対の腎臓の両方

      に発生することはまれで、殆どのタイプは腺癌です。腎癌の好発年齢は50〜60歳代で、ほぼ40歳以降に

      発生します。とはいえ、近年ではその発症年齢は若年化傾向にあります。女性より男性に多い癌で、女性の

      2〜3倍(別データ4倍強)の比率になっております。 腹痛(背部痛)、
血尿、側腹部腫瘤が3大症状といわれ、

      症状が出てきた時点では、ある程度進行しております。





     
§2  腎癌(腎臓癌)の症状/腎癌(腎臓癌)/尿と病気




肉眼的血尿、腹痛(背部痛)、側腹部腫

瘤が3主徴とされておりますが、近年で

の傾向では この症状が揃うケースは1

割程度です。発見時点では進行例の事

が多い。 しかし、 無症状にも 関わらず、

腹部超音波検査や CTで 偶然に発見さ

れる事も少なくない。血行性転移が多く、

リンパ行性転移は少ない。
進行しますと、肺、肝臓、骨、脳などに転移し易く、また、大静脈に直接浸潤する特徴もあります。随伴症

状としても、赤血球増多症高カルシウム血症高血圧スタウファー症候群など多様な症状を呈します。



血尿は 全体の50%に確認されるも

のですが、肉眼ではなく顕微鏡的な

検査で発見される事も多い。それは

発熱や 腹痛を伴わない 無症候性

のものが殆どです。 腹部腫瘤は側

腹部に出来る瘤で気づくものですが、

全体の10%程度です。腎臓の下方

のもの、大きなものは触診でわかり

ます。腎部疼痛は上腹部も鈍痛、不

快感、圧迫感が全体の20%程度を

占め、腫瘍の大きさに関係しています。

その他発熱が全体の2〜5%程度に確認されるものですが、発熱誘導物質を腎癌の細胞あるいは、腫

瘤内のリンパ球が作り出すためではないかと考えられております(腫瘤を摘出すれば熱も下がります)。

そのほかには体重減少、出血による貧血、食欲不振、下痢などの症状も確認されることがあります(腎

癌の進行している事を示します)。










     
§3  腎癌(腎臓癌)の検査/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


       潜血反応の陽性がきっかけで、他の病気を疑い、超音波検査、CT検査などを行い、早期の腎癌(腎臓癌)が

       発見される事が増えてきました。 その他、貧血や、血沈の亢進、CRP高値、低蛋白血症が確認される事もあ

       ります。エリスロポエチン産生腫瘍では、赤血球増多症が、上皮小体ホルモン様物質産生腫瘍では高カルシ

       ウム血症が認められます。慢性胆汁鬱滞型の肝機能異常が認められる場合があります(腫瘍摘出で消失す

       るが、症状が続く様であれば再発も考えられます)。






       腎癌(腎臓癌)は早期発見さえできれば、 腎臓摘出術を行うことにより、予後は良好となりますが、転移し

       てしまいますと、抗癌剤や放射線に対する感受性が悪く、予後不良となります。画像検査では、腹部単純

       X線検査、排泄性尿路造影検査、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査、血管造影検査などがあ

       ります。




       
腎癌(腎臓がん)は、リンパ行性転移は少なく、血行性転移が多いと考えられております。進行しますと肺、

       肝臓、骨、脳などに転移し易く、大動脈に直接浸潤する事が多い特徴もあります。健康診断で潜血反応が

       陽性になった時など、検査値の異常が判明しましたら、精密検査など積極的に受診する様にしましょう。






     
§4  腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


      §4−1 手術療法/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気



       基本的な手術の目的は腫瘍細胞が他臓器やリンパ節に広がる事を防ぐ事ですが、出血を極力防止するため

       に、腎動脈を結索して切断します。癌のある側の腎臓周囲の脂肪組織やリンパ節を切除し、副腎、腎臓をそっ

       くり摘除します。残った腎臓の方は、正常であれば、大きくなり、腎機能もほぼ正常の値を示すようになります。

腎癌は両側に発生することはまれです

が、その場合には腫瘍の大きさを確認

して、 部分切除や場合により、両方の

腎臓を摘出する 両腎摘出が行われる

事もあります。 この際の後は、血液を

体外に導いて 血液透析を する事にな

ります。遠隔転移が認められる場合で

も、 基本的に原発巣を摘出し、転移先

も手術が可能であれば切除します。





      
§4−2 腎動脈塞栓術/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


       
大腿動脈(足の付け根にある)からカテーテルを挿入し、腎動脈まで導き底に塞栓物質を注入する方法で、

       腎摘出術の時に出血を少なくするために腎摘出術のおよそ1週間前頃に実施します。腎摘出術が不可能

       な場合でも腫瘍を縮小するために塞栓術を実施し、抗癌剤を注入する方法をとる場合もあります。この方

       法では時間の経過と共に、 一時的に縮小した腫瘍は 腎動脈以外の血管から栄養が供給される事により

       、再度腫瘍は増大する事になります。 (塞栓術直後より、一時的に高熱、腎部疼痛、吐き気、嘔吐がみら

       れます。)






     
 
§4−3 化学療法/腎癌


     
  抗癌剤は塞栓術や原発巣や転移巣に栄養を送る動脈から薬剤を投与する方法は、有りますが基本的には

       まり効果がないので、採用されておりません。






      
§4−4 放射線療法/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


     
  放射線療法はあまり効果がないと考えられております。放射線療法が選択されるのは転移巣の切除が出来

       ない場合、手術に耐えられない状況にある場合などです。た、腎癌は骨や肺への転移が多く、肺に放射線を

       照射した場合には癌が消失しても、周囲の正常な組織に線維化が起こってしまう事により、肺の機能が低下

       してしまいます。但し、骨転移の場合の疼痛を緩和する目的での照射には効果があります。放射線は消化管

       に照射した場合には、 食欲不振、吐き気、 嘔吐、腹痛、下痢を、 頸部に照射しますと、嚥下困難、嚥下痛を、

       頭部に照射しますとフラツキなどを起こしますが、一時的なものと考えられております。






      
§4−5 免疫療法/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


     
  インターフェロン療法は腎癌の腺上皮癌に有効で、治療は2〜3ヶ月は継続してその効果を確認する必要が

       有りますが、中でも肺転移巣に対してはその20〜30%の患者さんの腫瘍は消失あるいは縮小するとありま

       す。ですがその他の転移巣では有効性が高いとはいえない状況です。発熱、倦怠感、食欲不振などの副作

       用がありますが、療法を中止すれば副作用も消失します。(インターフェロンγ-TaやインターロイキンUなど)





      
§4−6 分子標的治療薬/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


       腎細胞癌は血管の豊富な腫瘍ですが、血管増生にVEGF(vascular endothelial growth factor/血管内皮成

       長因子)が深く関与しているとされます。近年、このVEGFレセプターなどの一連のキナーゼ阻害薬であるス

       ニチニブが、サイトカイン(INF、ILなど)無効例に対しても、その働きは認められつつあり、IFN-αとの比較で

       も、より高い腫瘍縮小効果が期待される事が示されております。 その他、VEGFそのものに対する抗体ベバ

       シズマブはIFN-αと併用療法でスニチニブと同等の効果が期待できると紹介されております。その他にもテ

       ムシロリムスやソラフェニブなどサイトカイン無効例に対して有効性が示されていると紹介されております。





      
§4−7  その他療法/腎癌(腎臓癌)の治療/腎癌(腎臓癌)/尿と病気


        血管塞栓術、細胞療法、needle ablationなどがあります。








     
* 赤血球増多症;エリスロポエチンを腫瘍や腫瘍周辺の正常腎組織が、低酸素状態環境のために産生すること

     によると考えられております。


     
* 高カルシウム血症;腫瘍が産生する副甲状腺ホルモン類似物質が原因と考えられております。全体の1/5の

     症例に確認されるとされ、 その他にも、破骨細胞活性化因子、TGF-βも関与しているのではないかとも見られ

     ております。


     
* 高血圧;腫瘍がレニンを産生します。(腎にも内分泌機能があり、レニン、カリクレイン、プロスタグランジン、エリ

     スロポエチンを分泌します。)


     
* スタウファー症候群;肝機能障害を肝転移が無いのにも関わらず起こす事で知られる。肝機能障害の症状

     では、アルカリフォスファターゼ上昇、ビリルビンの上昇、低アルブミン血症、プロトロンピン時間の延長などや、

     発熱、全身倦怠感、体重減少などがあります。


     
* TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β);種々の細胞増殖抑制因子として知られている。


     
* レニン・エリスロポエチン赤血球を成熟、小腸からのカルシウムリンの吸収促進、血圧を上昇させる


     
* VEGF(血管内成長内皮因子);腎細胞癌はVHL遺伝子の異常を持っている事が多い。VHL遺伝子異常はHIF

     -1aの蓄積、その標的遺伝子の発現を増強する。その遺伝子の中にVEGFが含まれております。腎細胞癌はVE

     GFが深く関わっているものと考えられております。HIF(hypoxia inducible factor)


     
* VHL(von hippel-lindau)遺伝子;VHL病は常染色体性遺伝を示す遺伝病として知られておりました。その3番

     染色体の短腕に存在する責任遺伝子(VHL遺伝子)が単離されました。












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