透析・尿と病気

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透析


透析/尿と病気


     
§1  透析とは/透析/尿と病気


      
透析療法を受けている患者さんは増加し続けております。これは高齢化や透析療法の効果により、死亡者が

      減少している事も有りますが、腎臓病患者さんが増加している事が大きく影響しているものと思われます。透

      析療法/体内に溜まった水分を、 血液側に圧力を加える、透析液側を陰圧にするなどで 取り除く方法を限外

      濾過といい、 血液側には不足している物質を透析液中より補充する事ができます。 この原理を治療に応用

      したものが血液透析腹膜透析です。
末期腎不全には透析療法も選択されます。 慢性腎不全に対しての透

      析選択には、長期透析適応基準があります。 透析に至る原因疾患で最も多いものは糖尿病性腎症、次いで

      慢性糸球体腎炎、次は腎硬化症です。




     
長期透析適応基準(慢性腎不全)

     保存的治療では改善できない慢性腎機能障害、臨床症状、日常生活の障害を示し、以下のT〜Vの項目で、

     合計点数が原則60点以上になった場合に、長期透析療法導入適応と判断します。

T 腎機能
血清クリアチニン値(r/dL)         点数
(クレアチニンクリアランス mL/分)
8以上(10未満) 30
5〜8未満(10〜20未満) 20
3〜5未満(20〜30未満) 10
U 臨床症状
1 体液貯留(全身性浮腫、高度の低蛋白白血症、肺水腫)
2 体液異常(管理不能の電解質・酸塩基平衡異常)
3 消化器症状(悪心、嘔吐、食思不振、下痢など)
4 循環器症状(重篤な高血圧、心不全、心包炎)
5 神経症状(中枢・末梢神経障害、神経障害)
6 血液異常(高度の貧血症状、出血傾向)
7 視力障害(尿毒症性網膜症、糖尿病性網膜症)
これら1〜7の項目のうち3個以上のものを高度(30点)、2個を中等度(20点)、1個を軽度(10点)とする。
V 日常生活障害度
尿毒症症状のため、起床できないものを高度(30点)、日常生活が著しく制限されるものを中等度(20点)、通勤、通学あるいは家庭内労働が困難となった場合を軽度(10点)とします。

      但し、年少者(10歳以下)、高齢者(65歳以上)あるいは高度な全身性血管障害を合併する場合、全身状態が

      著しく障害された場合などは、夫々10点加算します。







     
§2  血液透析/透析/尿と病気


       

            -血液透析 模式図-
血液透析は、半透膜を介して透析液側に

不要老廃物を移動させるもので、透析液

は循環させて 血液側から透析液側に溶

質を拡散させます。この際、体外循環で、

血液凝固を抑制するためにヘパリンを注

入します。 ダイアライザーは半透膜を内

蔵する装置です。 ブラッドアクセスは血

液を体内から透析液に導き、浄化された

血液を 体内に戻す 血液の出入り口で、

維持透析の場合、 通常は利き腕とは反

対側の前腕に橈骨動脈と前腕皮静脈を

吻合し、シャントを形成させ、使用します。


血液透析では、透析不均衡症候群という、主に透析初期に出現する副作用があります。これは、頭痛、

悪心、嘔吐などが現れます。急激な電解質、循環、血中老廃物の変動が原因とされます。その他、筋

痙攣・硬直(低カルシウム、低ナトリウム)、 循環不全(心拍出量の低下)、 血管痛(穿刺部・穿刺部上

流)などが副作用としてあります。社会復帰は可能ですが、CAPDよりは劣ります。




           -シャントの種類 模式図-
血液透析をする場合は、上図のダイアラ

イザーを通して 血液を浄化しますが、そ

の取り出し口が必要になります。 それを

「バスキュラーアクセス」 といいます。そ

のため右図の様にシャントを形成します。

シャントは 内シャントと外シャントがあり

ますが、 外シャントは感染リスクが大き

いために、 殆んど内シャント対応になり

ます。動脈と静脈を繋ぎますので、血液

は静脈に勢いよく流れ込み、静脈は太く

なります。


ここに針を刺し、血液を取り出します。シャント形成から静脈が太くなるのに日数が1ヶ月程度必要です。

緊急時は大腿静脈、内頚動脈、鎖骨下静脈を利用して、 ダブルルーメンカテーテル(内腔が2層)を挿

入して、血液透析を実施いたします。







     
§3  腹膜透析/透析/尿と病気



                 -腹膜透析-
腹膜透析は現在では、ほとんどが連続

式の 携帯型(CAPD)と呼ばれる治療

の方式が主流です。 この方法では、3

〜4回/日 のバッグ交換で社会復帰も

可能とされています。 この腹膜透析は

透析液を直接腹腔内に注入し、 腹膜を

利用して 体内毒素を透析液に移動させ

る方法です。 透析バッグの交換に要す

る時間は1回に30〜40分です。 腹膜

透析はカテーテルの出口から、細菌感

染を起こし易く、 長時間の使用では腹

膜の機能が 落ちますので、 腹膜透析

は長くても 10年程度とされております。


更に、腎不全患者さんで、カルシウムや重炭酸などの不足成分は、腹膜を介して透析液から体内に補充

されます。携帯型の腹膜透析の長所は、特殊な器具の必要はありませんし、場所も選びません。抗凝固

薬の必要も有りませんので、出血性の疾患を持つ患者さんでも使えます。 その他、水分・電解質の補正

が容易、血中の尿毒症性毒素濃度を低値に保てる、透析不均衡症候群などは無い、 循環器に対する負

担も少ないなどの利点があります。 その一方で、透析時間は長時間になり、回数が多い、心身の負担も

大きい、窒素代謝産物の除去能力が低い、カテーテル挿入に際し、腸管損傷、腹膜損傷の可能性がある、

腹膜炎などの感染合併を起こしやすい、 腹膜疼痛・膨満感、長期治療による腹膜機能低下やその他、蛋

白・アミノ酸・ビタミンの喪失、慢性的な透析不足なども上げられております。 社会復帰は血液透析より優

れています。


自動腹膜透析(APD)は就寝中に自動的に透析を行います。透析バッグの変わりに自動腹膜灌流装置(

サイクラー)を使い、バッグ交換無しで、翌朝には透析が完了しています。





     
§4  透析療法の合併症/透析/尿と病気


      
§4−1 透析中の合併症/透析療法の合併症/透析/尿と病気


       不均衡症候群
血液中の老廃物を急に除去する事により、血液と脳細胞の間の老廃物の濃度に不均衡が生

       じるため、頭痛、吐気、だるさ、痙攣、血圧低下 などが起きる事があります。 透析をゆっくり行う事で、緩和す

       る事ができます。腹膜透析の場合には、ゆっくり行われていますので不均衡症候群が起きる事はありません。


       
その他;針を刺す時に、血腫が出来る事や、他の血管を傷付ける事、薬物の混入、アレルギー反応、ショック

       症状、血圧低下などが起きる事があります。





      
§4−2 長期間の透析療法で起こり得る合併症/透析中の合併症/透析療法の合併症/透析/尿と病気


       心不全(死因;全体の1/4)
;腎機能の低下、体外循環、シャント血流などが心臓に負荷をかけて、しまう事に

       よります。その他、高カリウム血症による不整脈、や心筋梗塞も原因になります。


       
感染症(死因;全体の1/5);針を刺す傷口、腹膜透析でのカテーテル留置部位などから感染します。透析液

       バッグの交換の時や、カテーテル出口など、清潔に心がけなければなりません。細菌やウィルスが侵入して

       感染します。


       
脳血管障害(死因;全体の1/10);高血圧の場合、脳出血や脳血栓、くも膜下出血などの疾患を合併する事

       があります。


       その他、悪性腫瘍(死因;全体の9、0%)、心筋梗塞(死因;全体の5、1%)などが上げられます。また、骨の

       異常(ビタミンDの活性化、リンの排泄の低下など、腎機能の低下のために、カルシウムが少なくなり、調節の

       ために副甲状腺ホルモンが分泌され、二次性の副甲状腺機能亢進症になります。そのため、血液中に骨から

       カルシウムが溶け出し、骨粗鬆症になります。)、 胃の障害(薬の服用による胃炎、腎不全により胃粘膜血流

       低下で、胃炎や胃潰瘍など、ヘリコバクター・ピロリ菌感染なども多く認められる)などが確認されております。






     
* 長期透析悪性腫瘍例;透析患者の長期療養における合併症死亡率で、4番目に多い悪性腫瘍の1987〜19

     97年間での979例中の内訳が報告されております。 その内の57例に悪性腫瘍が発生しております。それによ

     りますと、 大腸癌14例、胃癌10例、腎癌7例、肺癌6例、甲状腺癌5例、乳癌4例、卵巣癌2例、食道癌2例、以

     下1例が肝癌、膀胱癌、十二指腸乳頭部癌、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、中咽頭癌、悪性黒色腫となっており

     ます。












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