腎移植・尿と病気

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腎移植


腎移植/尿と病気


     
§1  腎移植とは/腎移植/尿と病気


      
末期の腎不全の患者さんに対しての唯一の根治的な療法として、腎移植があります。原則として慢性腎

      不全で透析療法を必要とされる多くの患者さんが腎移植の対象となります。 一方で、要注意患者として、

      高齢者(65歳以上)、下部尿路障害、 心血管疾患、脳血管障害、慢性肝炎、 胃十二指腸潰瘍などの合

      併症を持つ患者さん、 易再発性糸球体腎炎を原疾患とする患者さんが上げられています。 近年の治療

      の進歩により、 治療成績は透析患者さんの生存率を上回るため、 腎移植を希望する患者さんは 急増し

      ています。 但し、
末期の腎不全でも、 感染症で炎症が強く出ている・進行性の悪性腫瘍の人には、一般

      的に腎移植は行われません。 腎移植には自家移植同系移植同種移植、 異種移植の4種類に分類さ

      れます。 この内、異種移植は種を超えた移植の事であり、問題が多く、臨床的にも応用されておりません

      ので、実質3種類と言えるでしょう。 移植は生体腎移植(日本では殆んどが生体腎移植です)の方が献腎

      移植よりも生着率が良好で、 生体腎移植では、ドナー由来の組織適合抗原 (
人の場合にはヒト白血球抗

      原/HLA
) が全て一致した同胞間移植の方が、 親子間(HLA50%共有) 移植よりも予後が良好です。献

      腎移植の場合には、非適合抗原数が少ないほど生着率は良好です。 その他、予後に影響する要因では、

      ドナー(臓器提供者)年齢、 WIT(温阻血時間)、 TIT(総阻血時間)、レシピエント(移植を受ける患者さん)

      体重、高血圧や脂質異常症の有無、人種差、性差なども上げられております。 術後は免疫抑制剤を長期

      間に亘って内服し続けなければならないために、 免疫力の低下による日和見感染や悪性腫瘍の発症など

      の問題があります。更にはメタボリックシンドロームの発症なども 術後の注意しなければならない問題点と

      して上げられております。



     * 臓器移植ではレシピエントとドナーとの間の赤血球血液型(ABO)と白血球血液型(
HLA/組織適合抗原)を

     調べます。移植した臓器の生着には、高い一致率が求められます。 HLAの一致では、 特にDRというタイプの

     一致率は重要です。 (近年では、選択基準が変わり、HLA、ABO赤血球血液型、地域性、待機日数などを総

     合的に考課し、優先順位を決める様になって来ております。) また、 近年では免疫抑制剤の高い効果で、比較

     的一致率が低くても 、生着率は高い傾向になっております。 ABO赤血球血液型も、 生体腎移植の場合では、

     一致していなくても血漿交換により、移植する事が出来るとされております。





     
§2  自家移植/腎移植/尿と病気


       ご自身の皮膚や、腎臓などを移植するものです。腎臓の場合には、腎血管修復後の自家腎移植が該当し

       ます。





     
§3  同系移植/腎移植/尿と病気


       一卵性双生児の臓器移植で、遺伝子的に同一のため、拒絶反応が起こらず、免疫抑制の必要性の無い移

       植という事になります。





     
§4  同種移植/腎移植/尿と病気

大半の臓器移植は、同種移植です。即ち、血

縁者や非血縁者の生体腎移植やその他、臓

器移植、脳死ドナーからの臓器移植、心停止

ドナーからの腎移植などが含まれますが、こ

の移植の場合には、 拒絶反応が出現するた

めに、免疫抑制が必要になります。移植腎の

尿管と膀胱の吻合は、逆流防止を目的に、粘

膜トンネル法を用いる場合が多い。 術後は数

日間、膀胱内にカテーテルを系尿道的に留置

します。

また、献腎移植では、術後一定期間、急性尿細管壊死による乏尿期を経験する事が多く、この期間は、

血液透析や腹膜灌流を行う必要があります。生体腎移植の場合は、手術直後から働きますので、直ぐ

に尿はでますが、 献腎移植では移植後、10〜14日程度かかります。 食事は移植腎機能の見合う食

事内容になります。 特に問題が無ければ、もともとの腎臓はそのままにしておきます。一般的に、術後

拒絶反応を防ぐために、免疫抑制剤を投与しますが、この期間は、特に感染症に罹り易くなりますの

で、管理も厳重になります。10日間位の管理の後、問題がなければ、 一般病室に移り、術後3週間か

ら1ヶ月程度の経過の後に、退院する事になります。退院後の経過が良好であれば、医師の指導の下

に、免疫抑制剤の投与量は、徐々に減らしてゆく事になります。






     
§5  移植後合併症/腎移植/尿と病気


       合併症には外科的合併症と内科的合併症に分ける事ができます。


       
外科的合併症;外科的合併症としは、手術創として術後出血、創感染(細菌性、真菌性)、移植腎の破裂、血

       管系では腎動脈血栓、腎静脈血栓、腎動脈狭窄、腎動脈瘤、尿路系としては、膀胱タンポナーデ、尿道バル

       ーン閉塞、尿瘻、尿管閉塞(尿管狭窄)、尿管壊死、リンパ系ではリンパ瘤などが上げられております。これら

       のうちで、出血や深部創感染、尿瘻などは処置が遅れますと、致命的になります。 その他の尿路系、血管系

       合併症も迅速な処置が必要ですが、 腎動脈、腎静脈の血栓症は、処置が遅れる事により、腎機能の廃絶に

       繋がります。




       
内科的合併症;内科的合併症には感染症として、ウィルス(サイトメガロウィルス肺炎、単純ヘルペス、帯状

       疱疹など)、 真菌(カンジダ、カリニ肺炎など)、細菌性(肺炎、尿路感染症、前立腺炎など)があり、循環器

       系では、高血圧、心不全、虚血性心疾患など、 内分泌・代謝系では、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症な

       ど、消化器系では、胃十二指腸潰瘍、肝機能障害など、悪性腫瘍では悪性リンパ腫、皮膚癌、腎細胞癌な

       ど、その他白内障や緑内障、無菌性骨壊死などの合併症が上げられております。感染症のサイトメガロウ

       ィルスやヘルペスウィルスなどは、免疫抑制薬の投与量の多い期間(術後数ヶ月)に高頻度に発症し易い。

       カリニ性肺炎や真菌性肺炎は重症化してしまいますと予後不良になります。心筋梗塞、肝硬変、悪性腫瘍

       などは術後慢性期の主な死因になっております。













     
* 免疫抑制;Tリンパ球からのサイトカイン (細胞間シグナル伝達物質/Tリンパ球、 マクロファージ、血管上皮細

     胞などから産生される/IL-1・IL-2・インターフェロンγなどがある))分泌を抑制する働きを示すシクロスポリンや

     タクロリムスが第一選択薬です。(これにステロイド、代謝拮抗薬が加えられる事が多い。) また、近年ではTリン

     パ球上のレセプター (CD25)をブロックする抗体、 バシリキシマブが投与される事も多い。 急性拒絶反応には、

     大量のステロイド投与によるパルス療法、抗リンパ球グロブリン、ムロモナブ-CD3などで対応します。



     
* 拒絶反応;拒絶反応には急性拒絶反応(術後3ヶ月以内に起きる)と慢性拒絶反応(術後3ヶ月以降に起きる)

     があります。急性拒絶反応が起きた場合には、緊急に対応しませんと、移植した腎臓は機能しなくなります。慢

     性拒絶反応の場合には、 有効な治療方法はありません。 そのため、透析療法に戻ったり、再度の腎移植で対

     応する事になります。











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