尿路感染症・尿と病気

                                  尿路感染症/尿と病気
尿のメモ帳 ページへ
 home(尿と病気)/尿路感染症               尿路感染症/尿と病気

尿路感染症


尿路感染症/尿と病気


     
§1  尿路感染症とは/尿路感染症/尿と病気


      
尿路感染症は尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道など)に病原性の細菌が存在(細菌尿)し、炎症を起こしている

      事が確認されれば、特定される。 下部尿路感染症と上部尿路感染症との違いは、炎症が膀胱尿管移行部

      を超えて波及しているのか否かによるが、一般的には上部尿路感染症の多くは、下部尿路感染症に続発し

      て起きる。 下部尿路感染症の症状としては、
排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部痛など膀胱刺激症状による

      ものが多く、
肉眼的血尿を確認する場合もあります。 上部尿路感染症は、更に、発熱など全身症状や腰痛

      などを訴求します。











     
§2  尿路感染症の起炎菌/尿路感染症/尿と病気


       感染が腎盂で起きれば腎盂腎炎、膀胱で起きれば膀胱炎になります。膀胱炎を例にあげますと、、単純性膀

       胱炎と尿路に基礎疾患を持つ複雑性膀胱炎では、起炎菌が異なります。 複雑性膀胱炎では難治性で、それ

       まで使用されてきた抗菌剤で耐性を持ってしまっている可能性もあります。尿路感染症の検査は、中間尿を調

       べる事が肝要です。 中間尿は初期の尿を10〜20ml程度捨てて、その後の尿を採尿するものです。これによ

       り、分泌物やその他の汚染の要因を減らす事ができます。 採尿に問題のある方に付いては、尿道カテーテル

       で対応する方法もあります。(膿尿に付いてはこちらをご覧下さい。)


細菌尿は尿中の細菌を培養して、そ

の種類を特定するものです。これに

より、細菌の種類、 およその数量を

調べ、投与する薬剤も決めて行く事

になります。右図は医療機関での分

離された 各種の膀胱炎起炎菌の例

ですが、 医療機関、単純性・複雑性

により、内容は大きく異なる事がわか

ります。一般開業医での単純性膀胱

炎の大半は大腸菌であり、複雑性膀

胱炎の 一般開業医の起炎菌も大腸

菌が、比較的多く分離されております。

その一方で総合病院では、ブドウ球菌、腸球菌などのグラム陽性球菌、緑膿菌などのグラム陰性球菌

などは増加傾向にあります。女性の場合には思春期から成年期にかけての尿路感染症が多く、膀胱炎

尿道炎腎盂腎炎が代表的なものになります。 これは.や排尿習慣などで膀胱炎(単純性膀胱炎

が多い)が増加するためと考えられます。神経因性膀胱糖尿病などが原因疾患の場合もあります。




     
§3  単純性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


      §3−1 単純性尿路感染症の原因と症状/単純性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


       
女性(尿道から感染する)と幼児(血行性感染)に発症しやすいのが単純性尿路感染症です。バート

       ナーを持つ女性に発症しやすい膀胱炎は、40歳代位の女性までに多く見られます。女性の場合、構造上外

       尿道口の近くに.があります。そのため、何らかの理由により細菌が尿道に入り易いといえます。また、高

       齢の女性は単純性尿路感染症が慢性化している場合も多い。 急性単純性腎盂腎炎は膀胱内の細菌が、腎

       盂で増殖して発症してしまう場合に起きます。 これは膀胱尿管逆流症といわれるもので、膀胱尿管移行部の

       逆流防止機構(粘膜下トンネルの排尿時押し潰し機能)が、 うまく機能せずに腎盂にまで起炎菌が達してしま

       う事によるものです。通常では逆流しませんが、先天的な形状異常(粘膜下トンネルが短い、尿管が垂直に近

       い)や、膀胱炎で粘膜に浮腫を生じてしまい、 尿管が垂直に近くなるなどで一次的な尿の逆流により腎盂腎炎

       を発症してしまいます。原因菌は腸内細菌(殆どは大腸菌)による汚染の場合が多い。急性単純性膀胱炎では、

       
排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部痛などや時に肉眼的血尿も確認されます。 急性単純性腎盂腎炎を合併して

       しまいますと、さらに腰背部痛、悪寒、発熱、全身倦怠感などの全身症状も呈します。





      
§3−2  単純性尿路感染症の治療/単純性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


       
単純性尿路感染症の場合、大腸菌を中心としたグラム陰性桿菌のため、経口ペニシリン系、セフェム系、ニュ

       ーキノロン系の合成抗菌薬を一般的には使用します。 グラム陽性菌もしかし10〜30%存在するため、検鏡

       などで可能な限り検査し、陰性、陽性、桿菌、球菌の判定をします。
患者さんは、水分摂取を充分にし、利尿

       作用で尿路を自浄作用により清浄になるように努めます。また避けるべき物として、アルコール、刺激物、セッ

       クスなどが上げられます。発熱、全身倦怠感などの全身症状が強い場合にはセフェム系の注射薬(耐性に配

       慮した適切な世代の)の投与や入院点滴もあります。急性単純性膀胱炎の場合には、薬剤投与後約3日後に

       検尿を行い薬剤有効性の確認が行われます。 この時点で膿尿が確認される場合には、更に抗菌薬の継続投

       与が3日程度追加されます。 再発の予防のために約5〜7日経口抗菌薬が投与されます。約1週間の投与で

       改善が認められない場合には、排泄尿路造影検査などで基礎疾患の有無の確認がなされます。 慢性膀胱炎

       の場合には症状が強ければ、抗菌薬の投与がされます。







     
§4  複雑性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


      
§4−1  複雑性尿路感染症の原因と症状/複雑性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


       小児と高齢者に発症しやすい複雑性尿路感染症は、尿路に基礎疾患を持っている場合をいい、慢性の経過

       を取ることが多い。 乳幼児から学童期の基礎疾患では、膀胱尿管逆流症、先天性水腎症(腎盂尿管移行部

       狭窄、膀胱尿管移行部狭窄)神経因性膀胱障害、尿管異所開口、後部尿道弁、尿路結石、その他の先天異

       常、成人から高齢者の基礎疾患では尿路結石、下部尿路の通過障害(前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部

       硬化症、尿道狭窄など)神経因性膀胱障害、尿路腫瘍(膀胱癌、腎盂尿管癌)、感染防止機能低下(末期癌、

       糖尿病など)、上部尿道の圧迫などが上げられます。その他共通のものでは、カテーテル留置部位の接続位

       置からの上行性に膀胱内に侵入してしまい尿路感染症を発症したり、カテーテルに細菌が付着し、バイオフィ

       ルム (尿路にある異物、結石、カテーテルの表面に細菌が付着し、糖蛋白を産生してしまう/細菌は糖蛋白の

       被膜内に埋没した状態になる)を形成してしまうために難治性の感染症になる場合もあります。 カテーテルを

       留置した患者さんの場合では、尿中に細菌、膿尿がみられても無症状の場合も多い。この場合には尿路感染

       症に確実に罹患します。この様に高齢者では、排尿障害を来たす基礎疾患が原因となる場合が多い。複雑性

       膀胱炎では
排尿時不快感頻尿排尿時痛を伴なう事も多い。)、下腹部痛、腎盂腎炎では腰背部痛、軽度の

       発熱などを示しますが、 急性期・急性増悪時には、 膀胱症状は激しく腎盂腎炎は高熱、全身倦怠感などを来

       たします。





       
§4−2  複雑性尿路感染症の治療/複雑性尿路感染症/尿路感染症/尿と病気


        単純性尿路感染症と異なり、複雑性尿路感染症は起炎菌は多様で、しかも基礎疾患を除かなければ、完治

        が望めません。従い、基礎疾患を優先的に治療し、 あるいは同時平行して抗菌薬の投与を行う様になります。

        その際、細菌の特定と薬剤感受性試験を行って抗菌薬を決定して行きます。 膀胱炎の合併では、尿道閉塞

        性疾患の症状が増悪しますが、閉塞感が強い場合には尿路敗血症を誘発する場合もあるため、複雑性膀胱

        炎の治療は重要となります。 尿道カテーテル留置患者さんの場合には、 カテーテルが留置されている以上、

        膀胱炎の完治は望めません(カテーテル留置の際の抗菌薬投与は必須ではない。尿道カテーテルは早期に

        抜去し、介助や自己導尿、オムツなどに切り替える事が必要)。 この場合の長期間の抗菌薬投与は、耐性菌

        を生み出してしまう可能性も高くなるため、投与は慎重で有るべきとされております。 抗菌薬は前立腺炎、精

        巣上体円、腎盂腎炎を合併する場合に限り使用するほうが望ましいとされております。 基礎疾患の治療まで

        は経口抗菌薬の継続使用は多いが、その場合も、定期的に起炎菌とその薬剤感受性は検討されるべきとされ

        ております。











     
* 前立腺疾患;男性の複雑性膀胱炎で最も多い疾患。前立腺肥大症などで、膀胱内に残尿が常にあるために、

     少量の細菌が逆行性に、またはリンパ行性に膀胱に達し、残尿内で細菌は増殖してしまう。 寝たきりの方の場

     合、陰部の汚染や尿流低下により複雑性膀胱炎の発生率が高くなります。膀胱内圧の亢進、膀胱変型で膀胱

     尿管逆流が後天的に発生してしまい、腎盂腎炎にまで移行してしまいます。 前立腺疾患に尿路感染症を合併

     すると、排尿障害などの原疾患による症状は更に悪化するケースが多い。



     
* 尿路敗血症;尿路感染症に続発して起きる。場合により、予後不良の問題疾患です。カテーテル留置や尿道

     造影を行った場合、上部尿路の閉塞性病変に尿路感染症が合併した場合などに起きます。細菌が血中に侵入

     し増殖するもので、グラム陰性桿菌が原因ならば、ショック状態でありながら四肢温低下のない(ウォームショッ

     クという)状態に陥る事がある。この場合には一般に予後不良です。












 home(尿と病気)/尿路感染症


◎ 尿の目視外観や匂い、排尿量、排尿感覚など五感に関連した項目
尿性状 排尿量 排尿困難関連疾患 残尿感関連疾患
血尿 多尿 尿路結石 前立腺肥大症
泡立ち尿 乏尿 尿道結石 前立腺炎
濁り尿(混濁尿) 無尿 膀胱結石 膀胱炎
匂い尿 尿閉 前立腺肥大症 神経因性膀胱
尿一般 神経因性膀胱 尿路感染症
前立腺癌 膀胱結石
.ヘルペス
膀胱癌
尿道癌
排尿一般 誤判断症状(他疾患と間違い易い症状) その他
排尿困難 背部・側腹部痛 残尿感
排尿痛 下腹部痛 頻尿
一般排尿症状 発熱 尿もれ(尿失禁)
過活動膀胱
骨盤臓器脱
腹圧性尿失禁
切迫性尿失禁
溢流性尿失禁
◎ 尿に関連した尿周辺情報
尿関連検査 その他の関連疾患・情報
尿検査 腎機能検査 前立腺肥大症 尿路上皮癌
尿流動態検査 内視鏡検査 前立腺癌 膀胱腫瘍/膀胱癌
腎盂〜尿道検査 腎盂尿管癌
排尿機能検査 内分泌機能検査 尿道腫瘍
前立腺検査 副腎皮質腫瘍
一般画像検査 尿路結核 腎癌(腎臓癌)
その他検査 血液検査 尿路感染症
腎動静脈瘻
腎梗塞
その他の尿関連情報 腎盂腎炎 腎静脈血栓症
尿のメモ帳 透析 急性糸球体腎炎 腎嚢胞
経尿道的手術 慢性糸球体腎炎 腎動脈瘤
化学療法 腹腔鏡下手術 IgA腎症 腎硬化症
放射線療法 腎臓移植 急速進行性糸球体腎炎 腎不全
尿路変更 ループス腎炎 ネフローゼ症候群
尿細管・間質性腎炎 微小変化型ネフローゼ
膜性増殖性糸球体腎炎 痛風腎
半月体形成性腎炎 多発性嚢胞腎
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
糖尿病
糖尿病性腎症 クラミジア感染症
尿道炎非クラミジア非淋菌性
慢性腎臓病CKD 間質性膀胱炎



(C)allright reserved -尿と病気-