尿量・尿と病気

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尿量


尿量/尿と病気


     
§1  尿量とは/尿量/尿と病気


      
健常な人の尿量は1日あたり男性は1500ml、女性は1200mlといわれております。これよりも明らかに多け

      れば多尿、その他、乏尿無尿
尿閉など尿量に応じた状態があります。但し、水分の摂取量により、尿量は

      変動します。これは主に、集合管で再吸収される水の量は、水分摂取量により変動する事によるものです。





          -糸球体機能 模式図-
糸球体で濾過される原尿量(GFR/糸球

体濾過量)は150L/日程度と 考えられ

ておりますが、 この様に大量の濾過を

行うのは、 血液中の代謝老廃物を完全

に排泄しなければならないためです。ク

レアチニンの場合ですと、 43L/日以上

の原尿量(GFR) が 必要とされておりま

す。 それが、正常の腎臓では必要量の

3倍を越える量の濾過が 行われている

事になります。 この様に正常腎臓には、

その能力に余裕があります。


更に腎臓には、体液量や電解質の調節機能も具えられております。日々変動する、塩分や水分の摂取量

に対応する機能が求められるという事です。 それを大量に濾過される原尿から必要に応じて、再吸収して、

結果的には尿量は調節されているわけです。






     
§2  多尿とは/尿量/尿と病気


       
多尿は水分の過剰摂取などの条件に起因しない、1日あたりの尿量が1500mlより明らかに多い、2000ml

       〜2500ml以上の尿量が持続する状態です。 原因として糖尿病(内分泌性多尿)、腎臓病(内分泌性多尿)、

       尿崩症 (腎性多尿)などに罹患している可能性があります。 例えば、尿量が6000〜7000ml/日以上あり、

       尿比重1、002〜1、008(殆んど水)の様に、薄くて大量の尿では恐らく、中枢性尿崩症、心因性多飲多尿

       症、遺伝性腎性尿崩症のいずれかの可能性があります。 また、利尿薬の投与も影響します。多尿の人は1

       日あたりの尿の頻度も多くなります。通常にいわれる頻尿は、1回あたりの尿量は少ない傾向にあります。

       カフェインやアルコールの過度の摂取も多尿の原因となります。(低張性、非低張性による分類もあります。

       )多尿・頻尿を伴なう可能性のある病気 御参考にご覧下さい。










     
§3  乏尿とは/尿量/尿と病気


       乏尿は1日あたりの尿量が400〜500ml以下の、明らかに少ない尿量をいいます。尿量が少なくなるのは腎

       臓で正常に尿が作られているにも関わらず、 膀胱から先に流れ難い状態になっている場合 (前立腺肥大症

       前立腺癌など)や、腎臓の機能が低下して、 尿を作る能力が低下している場合(腎臓病、腎不全など)があり

       ます。腎前性腎性腎後性にも分類できます。 体内の代謝老廃物を完全に排泄するために必要な最大濃

       縮尿量の最低量は500mlと考えられております。従いまして、この量より尿量が少ないのは、尿の産生や排

       泄過程に問題が有ると考えられております。乏尿を伴なう可能性のある病気 御参考にご覧下さい。







     
§4  無尿とは/尿量/尿と病気


       無尿は1日あたりの尿量が100ml以下の極端に少ない尿量の状態をいいます。排尿が出来なければ尿閉で

       す。無尿は乏尿と共に腎臓の機能が極端に低下した状態で、 急性腎不全特有の症状です。 腎前性腎性

       腎後性にも分類できます。 無尿状態は高度異常の可能性が高いといえます。無尿は腎臓の高度障害や尿

       路の高度閉塞で生じますので、腎前性は有りません。無尿を伴なう可能性のある病気 御参考にご覧下さい。





     
§5  尿閉とは/尿量/尿と病気


       尿閉の原因疾患としては、神経因性膀胱が上げられます。神経因性膀胱の原因としましては脳梗塞、脳出

       脊髄損傷二分脊椎子宮頸癌術後、直腸癌術後、糖尿病性神経障害、多発性硬化症などや、原因不

       明のものもあります。 その他にも、尿閉の原因として、子宮や卵巣に癌や、巨大な嚢胞が出来てしまい、膀

       胱頚部や尿道を圧迫して起こるもの、膀胱の癌や結石が出口を塞ぐ事、或いは、風邪薬や抗鬱剤などの薬

       剤性のもの、心因性によるものもあります。尿閉には、ヘルペス感染も指摘されております。


       
尿道狭窄尿道炎を繰り返しているケースや、尿道や尿道周囲臓器の手術の経験のある方、尿道に怪我をし

       た事のある人などで確認される事があります。


       
尿道結石;結石が膀胱出口や尿道の途中でつかえてしまい、尿閉を起こします。尿道憩室や尿道狭窄のある

       人に発症し易く、腎臓由来の結石以外にも、膀胱や憩室で結石ができてしまい、尿閉に至るケースもあります。


       
尿路外腫瘍の膀胱・尿道圧迫or浸潤;子宮癌、直腸癌など骨盤内の腫瘍が、尿道や膀胱に浸潤・圧迫して尿

       閉に至ります。


       
薬物(抗コリン薬、感冒薬、降圧薬、抗鬱薬など);市販感冒薬でも尿閉を起こす事があります。




       
*御参考にご覧下さい; 若い女性で尿閉を来たす事はまれとされておりますが、尿閉の原因となり得るものと

       して挙げられておりますのは、子宮癌、直腸癌の術後の膀胱の神経障害、子宮筋腫、卵巣嚢腫などによる圧

       迫、感冒薬、抗鬱薬などの薬によるもの、 脳や脊髄の病気によるもの、心因性によるもの、膀胱癌や結石が

       出口を塞ぐ、原因不明の神経因性膀胱などがあります。




尿量
1〜6歳 300〜1000ml/day(約2〜4ml/kg・時)
7〜12歳 500〜1500ml/day(約1〜3ml/kg・時) 小児乏尿X≦0、5ml/kg・時
13歳〜成人 1000〜1500ml/day(約1ml/kg・時)
成人 男±1500ml/day
女±1200ml/day
多尿X≧2500ml・乏尿X≦500ml・無尿X≦100ml










     
* 腎前性;腎前性とは腎臓の状態は正常に機能していますが、様々な原因(大量出血、外傷性ショック、脱水に

     よる血圧低下など)により、腎臓の血流が低下し、尿量が減少した状態です。



     
* 腎性;腎臓の病変により、尿を作る機能に異常を来たして尿量が減少する状態です。薬物性腎障害、糸球体

     腎炎、急性尿細管壊死などが原因になります。



     
* 腎後性;上部尿路系(主として尿管)の閉塞で、膀胱まで尿が到達せずに生じた状態をいいます。両側性の尿

     管結石や膀胱癌、子宮癌、直腸癌などで障害が両側性に及び排尿が障害を受ける状態です。下部尿路(主とし

     て膀胱、尿道)の機能障害、閉塞により尿が出ない状態を尿閉いい、(膀胱に尿が溜まっているか否か)乏尿・無

     尿と尿閉とは鑑別される必要があります。












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