溶連菌感染後急性糸球体腎炎・尿と病気

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溶連菌感染後急性糸球体腎炎


溶連菌感染後急性糸球体腎炎/尿と病気


     
§1  溶連菌感染後急性糸球体腎炎とは/溶連菌感染後急性糸球体腎炎/尿と病気


      
溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、一般にいわれます急性糸球体腎炎を指す場合が多い疾患です。A群β

      溶血性連鎖球菌の感染により、抗体産生が最大に活性化する頃に
血尿蛋白尿乏尿、浮腫、高血圧など

      を伴ない、急激に発症する腎炎です。溶連菌感染から発症までの潜伏期間は1〜3週間で、10日前後のケ

      ースが多い。溶連菌感染後急性糸球体腎炎は原因抗原が判明している、予後も良好な腎炎です。











     
§2  溶連菌感染後急性糸球体腎炎の症状/溶連菌感染後急性糸球体腎炎/尿と病気


       溶連菌感染後、
血尿、浮腫、高血圧、蛋白尿乏尿、高窒素血症などの急性腎炎症状が突然出現します。

       その他に加えて、初期症状(突然発症する
肉眼的血尿、糸球体濾過量の低下及びナトリウム・水の貯留/

       by WHO)として全身倦怠感、脱力、食欲不振、悪心、嘔吐、腎部鈍痛(肋骨脊柱角という腎臓存在部位に

       急性腎盂腎炎などの急性炎症性腎疾患では叩打痛を感じる)などを自覚するようになります。 その出現の

       程度は、 無症状から急性腎炎症状出現と時を同じにして、 尿量減少、浮腫、高窒素血症を発現したり、

       不全症状を一過性に示すケースさえあります。 一般的に発症から1〜2週間で利の浮き入り、 利尿と共に

       症状は速やかに消失しますが、
顕微鏡的血尿、蛋白尿は数ヶ月に亘り持続するのが普通で、1年を超えて

       持続する事はまれです。 感染とほぼ同時に
肉眼的血尿が出現する時には、IgA腎症や、紫斑病腎炎の急

       性増悪期の可能性が高く、注意する必要があります。(このケースでは、2〜7日で
顕微鏡的血尿、軽微蛋

       白尿
を残す程度で回復するが、尿異常は持続します。)半月体形成を伴ない数週間〜数ヶ月を経て慢性腎

       不全に移行する場合は、急速進行性糸球体腎炎とされ、
無尿、乏尿が持続し、腎機能障害の進行が速や

       かであるため、注意を要する。



       
尿症状血尿はほぼ必発症状です。番茶色、コーラ色と称される肉眼的血尿が初発症状とされ、検尿による

       尿潜血尿蛋白(0、5〜1、0g/day程度までが多い)が認められる事も多い。 尿沈渣では変型赤血球や赤

       血球円柱、白血球、腎上皮、顆粒円柱などの炎症性異常値が認められます。



       
高血圧;症例の半数以上に血圧の上昇を確認する事ができます。血圧が上昇するのは水やナトリウムの貯

       留が主因となっておりますので、 利尿が必要になります。一般的には高血圧は軽度から中等度程度ですが、

       時に悪性高血圧症状(脳症状/高血圧性脳症や心不全症状、多臓器不全、眼底病変、腎不全など)を呈する

       場合があります。



       
浮腫;起床時に顕著に、顔面や特に眼瞼部に好発する。浮腫が高度になると、全身性に確認される様になり

       ますが、 これは、腎臓からのナトリウム、水の排泄が障害される事により胸水や腹水の貯留を伴なう様にな

       るためです。糸球体の濾過量が減少し、 尿細管で水、ナトリウムの再吸収が亢進する事が起因しているとさ

       れ、この症状は利尿期になると速やかに消失します。



       
腎機能障害;尿素窒素、血清クレアチニン値の上昇を確認します。機能障害の程度は軽度〜急性腎不全

       状まで様々です。 ただし、ご高齢の方の場合には、障害の程度が高度になりやすい特徴が有りますので注

       意が必要になります。






     
§3  溶連菌感染後急性糸球体腎炎の検査/溶連菌感染後急性糸球体腎炎/尿と病気


       症例の90%にASO(antistreptolysin O)/抗ストレプトリシンO値上昇が認められ、ASK(anti-streptokina

       se)/抗ストレプトキナーゼ値の上昇、 発症時には血清補体C3(4〜8週間で基準値に戻ります。低補体血

       症が持続する場合には膜性増殖性腎炎ループス腎炎も疑う)、CH50の低下も認められます。 急性腎炎

       症状を示す類似疾患としては、 ループス腎炎、紫斑病性腎炎、急速進行性糸球体腎炎、多発動脈炎、ウェ

       ゲナー肉芽腫症、グッドバスチャー症候群、慢性糸球体腎炎の急性増悪期などがあります。






     
§4  溶連菌感染後急性糸球体腎炎の治療/溶連菌感染後急性糸球体腎炎/尿と病気


       発症初期、全身症状が認められる場合には、安静と保温が必要です。(新陳代謝抑制、腎機能維持のため)

       利尿期に入り、自覚症状も無くなったなら、尿検査、腎機能検査、血清補体価などを確認しながら安静の度

       合いを調節して行きます。多くのケースの場合には、一過性で経過し、治癒して行きます。溶連菌の感染が、

       扁桃や咽頭などに残っている場合や、 CRPの上昇が持続している様であれば、抗生物質による治療が選

       択されます。 浮腫、高血圧の改善のためにはループ利尿薬が選択されます。血液透析は、体液過剰がコン

       トロールできない場合や、 血清クレアチニンが5mg/dL以上に上昇した急性腎不全に至った場合に併用とい

       う形になります。また、半月体形成に対してヘパリンの持続点滴を選択する場合もあります。扁桃炎を繰り返

       す場合には、症状の安定している時期に摘出術も選択されます。 大切なのは体液の貯留や血圧などのコン

       トロールになります。 時に鬱血性心不全、高血圧性脳症、腎不全などが原因となり死亡に至る場合もあるた

       め、注意しなければなりません。 溶連菌感染後糸球体腎炎は一般には、一過性に経過し、自然治癒傾向に

       至るケースの多い予後良好の疾患です。 (小児の場合では、 90%が1〜3ヶ月以内に自然治癒しています。

       但し、性腎の場合には、その治癒率は50〜80%程度になります。)


       食事療法としては、急性期は塩分(3g/日以下)、水分(尿量に応じた制限)、蛋白の摂取制限をし、体蛋白の

       崩壊を防止するために高カロリー食を基本の食事体型にします。 乏尿、浮腫、高血圧、肺鬱血などの症状が

       ある場合には、食事制限は特に厳格に守る必要があります。(蛋白摂取量0、5g/Kg、高カリウム血症の場合、

       カリウム摂取制限、摂取エネルギー35Kcal/Kg・日を目安など→利尿期に移行し症状が軽減するまで継続し、

       諸症状の改善が見られる様になってから、制限を緩和します。)











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