消化吸収〜消費、貯蔵の恒常性サイクル |
糖質摂取(食物) |
澱粉、蔗糖、乳糖、麦芽糖 |
|
腸管 |
グルコース(ブドウ糖)、フルク
トース(果糖)、ガラクトースと
して消化吸収 |
|
肝臓 |
腸管で消化吸収されたグルコース
をグリコーゲンとして貯蔵する |
グルコースを血中に放出
末梢の組織がグルコースが不足した場合グリコーゲンを変換供給する |
脂肪 |
グルコースの取り込み過剰分は中性
脂肪として貯蔵 |
血糖値の恒常性が保たれる。 |
筋肉 |
グルコースをエネルギー源として利用
過剰分をグリコーゲン、蛋白質として
貯蔵 |
膵臓 |
インスリンは筋肉や脂肪組織へのグル
コース取り込みを促進する。こうして
血糖値は下がる。逆に血糖値が下がり
インスリン分泌が低下すると、肝臓で
のグルコース産生は高まり、筋肉や脂
肪組織へのグルコース取り込みは
低下し、血糖値は上昇する。 |
|
糖代謝関連ホルモン |
膵臓 |
グルカゴン |
血糖値を上昇させる |
副腎髄質 |
アドレナリン、ノルアドレナリン |
血糖値を上昇させる |
副腎皮質 |
糖質コルチコイド |
血糖値を上昇させる |
下垂体 |
副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン |
血糖値を上昇させる |
甲状腺 |
甲状腺ホルモン |
血糖値を上昇させる |
膵臓 |
インスリン |
血糖値を下降させる |
インスリンの分泌低下やインスリンの作用がブロックされると末梢組織はグルコースの適切な利用や過剰分を貯蔵できない結果、血中グルコースが高くなり糖尿病などを発症する。血糖値が低下すれば肝臓に貯蔵されたグリコーゲンやグルコースの代謝で産生された乳酸、ピルビン酸、アミノ酸、グリセロールから、グルコース6リン酸を経てグルコースに変換される。血糖値を上昇させるホルモンは肝臓、末梢組織、膵臓などに作用してグルコースの合成促進、末梢組織のグルコース取り込み抑制、脂肪分解促進、インスリン分泌抑制などで血糖値を上昇させる。
|
|
低血糖、高血糖に伴う症候等 |
低血糖 |
原因/
食後低血糖、空腹時低血糖、インスリノーマ、肝癌、劇症肝炎 |
震え、不安感、空腹感、発汗、動悸、頭痛、目のかすみ、複視、傾眠、錯乱、麻痺、痙攣、意識低下、昏睡 |
高血糖 |
原因/
糖尿病、クッシング症候群、巨人症、末端肥大症、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症 |
|
|
糖代謝関連検査の意味 |
血糖値 |
糖尿病診断検査、血糖値は低すぎれば生命にかかわり、高すぎると糖尿病を発症する。血糖値が170mg/dl位になってくると尿糖として現れる(糖排泄閾値)。
しかし糖尿病性腎症などの様に血糖値が正常でも尿糖が確認される場合もある。空腹時血糖値が140mg/dl以上、75gグルコース負荷試験2時間後の200mg/dl以上の場合は糖尿病の可能性が大。 |
ヘモグロビンA1c
A1(HBA1c.HBA1) |
ヘモグロビンと血糖が結合した物で高血糖が続くとHbA1cは増加する。過去の1ヶ月〜2ヶ月の血糖のコントロール状態がわかる。糖尿病以外でも腎不全、ヘモグロビン異常症などで高値になる。ビタミンCやアスピリンの影響でも高値になることがある。 |
フルクトサミン |
血清蛋白が糖化されたもの、血清蛋白のアルブミンは半減期が17日なので、過去1〜2週間の血糖の状態を知ることができる。ただ、低蛋白血症では血糖値が高くてもフルクトサミンは低く出るので注意が必要である |
1,5アンヒドログルシトール(1,5AG) |
これは血糖に類似した物質で体内には一定の量が存在する。血糖値が上昇し糖が尿中へ排泄されると共に排泄されるため1,5AG血中濃度は低下する。高血糖状態で糖が尿に出続けていたか否かを確認するために検査する。血糖コントロールの悪い糖尿病の人は6μg/ml以下となる。また、糖尿病性腎症や腎不全、妊婦の場合は尿中に排泄される糖が通常より多くなる。この場合は糖尿病ではない。 |
インスリン |
血糖値を降下させる重要な唯一のホルモンで膵臓から分泌され、不足することにより糖尿病を発症する。インスリンの生成や分泌の異常を調べ、インスリン依存型orインスリン非依存型の確認をする。インスリンの基礎値が高い場合はインスリン抵抗性糖尿病、異常インスリン症、高プロインスリン血症、インスリノーマ(インスリン産生腫瘍)、インスリン抵抗などの可能性があり、75g負荷試験で低反応を示すのは糖尿病ということになる。 |
Cペプチド |
膵臓からインスリンと同量分泌されるのでインスリン分泌量を確認することができる。(インスリンと共にインスリン前駆体のプロインスリンを構成する物質)糖尿病では低下する。 |