微小変化型ネフローゼ・尿と病気

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微小変化型ネフローゼ

微小変化型ネフローゼ/尿と病気


     
§1  微小変化型ネフローゼとは/微小変化型ネフローゼ/尿と病気


      
小児の場合、ネフローゼ症候群の原発性ネフローゼ症候群の中では、その90%が微小変化型とされ、糸球

      体の障害が殆んど確認されないネフローゼ症候群です。 尿細管上皮の脂肪変性を認めるもので、6歳以下

      の男児に多い傾向のある疾患です。成人では、ネフローゼ症候群の70〜80%が原発性であり、その10〜

      30%程度が微小変化型ネフローゼであり、小児にはまれな膜性腎症が一定のウェイトをしめております。尿

      に多量の
蛋白が排泄され、浮腫と低蛋白血症が同時に出現する疾患です。 低アルブミン血症、血漿膠質浸

      透圧の低下により細胞外液を血管外に漏出させる事になるため、浮腫が出現します。微小変化型ネフローゼ

      の原因は明確に解明されておりません。


     ネフローゼ症候群
原発性糸球体疾患 全身性疾患に伴なう糸球体疾患 遺伝性糸球体疾患
微小変化群 ループス腎炎 先天性ネフローゼ症候群
巣状糸球体硬化症 シェーンライン-ヘノッホ病性腎炎 アルポート症候群
膜性増殖性糸球体腎炎 その他 その他
膜性腎症
IgA腎症
その他




            -糸球体機能模式図-






     
§2  微小変化型ネフローゼの症状/微小変化型ネフローゼ/尿と病気


       尿中に大量の
蛋白(主にアルブミン)が排泄されてしまうために、低アルブミン血症、血漿膠質浸透圧の低下

       が生じてしまい、 毛細血管内と血管外の浸透圧を調節するバランスが変化し、 その結果細胞外液を血管外

       に漏出させてしまう。 それにより浮腫(下肢に多く、その他眼瞼部や男児の.内など)を生じさせてしまい、

       また循環する血漿流量が減少するためにレニン-アルドステロンの分泌が亢進し、 尿細管での水やナトリウ

       ムの再吸収が促進され、浮腫は更に増強される悪循環に陥ります。低蛋白血症が高度の場合ですと、腹水、

       胸水、 心嚢水などを伴う場合には全身性の浮腫を呈する場合も多くあります。 進行が緩やかなケースでは、

       短期間で体重が増加する、 いつも履いている履物が履けなくなるなどから気付く場合もあります。 その他の

       症状としましては、腹水、消化器症状として、腸管粘膜の浮腫が原因の下痢、腹痛や更に、循環血液量の減

       少による
乏尿、高血圧、それに伴なう痙攣、 意識障害(循環血液量減少症性ショック、高血圧性脳症)などを

       認めることもあります。 また、心嚢液貯留による心不全や胸水貯留による呼吸困難、高度浮腫の持続による

       敗血症など重篤な感染症が誘発されてしまう事もあります。







     
§3  微小変化型ネフローゼの治療/微小変化型ネフローゼ/尿と病気


       
ネフローゼ症候群小児の生活指導指針
A、在宅 在宅医療または入院治療が必要なもの
B、教室内学習のみ 登校は可能だが、病状がまだ安定しないもの(病状が安定するまで)
C、軽い運動のみ 病状は安定したが、ステロイド治療中のもの(Dに移行するまで)
D、軽い運動及び中等度の運動のみ(激しい運動は見学) ステロイド日投与中で寛解が維持されているもの
E、普通生活 ステロイドの投与を中止して寛解が維持されているもの
                                                          by 日本腎臓学会


       浮腫が強い状態の時は安静が望ましいとされます。ですが、安静自体がネフローゼ症候群の予後に影響を

       与えるという様には考えられておりません。 食事は長期間の高蛋白食は糸球体の過剰濾過を起こし、腎機

       能低下の原因になる可能性があると指摘されており、 浮腫症候を起こしている蛋白摂取量に準じます。(従

       来の高蛋白食摂取の考え方とは異なっております。) 食塩の過剰摂取は浮腫を更に増悪させるため、食塩

       量は0〜2g/日(出来れば1g/日以下)に制限しなければなりません。水分は前日1日尿量+前日の代謝水

       相当量(不感蒸発量/呼吸や細胞代謝で消費する水分/400〜600mL/u/日→輸液やアルブミン製剤など

       の総点滴量や食事中の水分も含まれる。)を摂ります。


       ネフローゼ症候群の治療薬は、ステロイド薬(副作用も御参考にご覧下さい)としてプレドニゾロンを中心に用

       います。症状が激しい時に、 これを緩和する目的でアルブミン製剤単独、或いはループ利尿薬と併用で選択

       されます。








     
§4  微小変化型ネフローゼの生活管理/微小変化型ネフローゼ/尿と病気


       微小変化型ネフローゼの場合、一度罹患しますと、70〜90%で1回以上の再発を経験するとされておりま

       す。この原因の多くは、上気道感染症(風邪症候群など)や水痘に罹患する事で、これを予防する事が大切

       になります。 そこで、日常の管理として、規則正しい生活、うがい、手洗いの励行、マスクの着用、感染症患

       者への接触を避けるなどを、 常に心がける必要があります。 それ以外にも、ステロイド薬、免疫抑制剤投与

       中は、免疫機能を抑制されるために、感染し易い状態になっております。水痘や麻疹などの感染症に罹患す

       れば、重篤化し、死亡するリスクも大きくなるため、厳重に注意する必要性があります。 小児の場合、ネフロ

       ーゼ症候群の急性期や活動期、大量のステロイド薬や免疫抑制薬投与中は、ワクチン接種は見合わせなけ

       ればならず、ステロイド薬が無効なネフローゼ症候群の場合には、 浮腫や蛋白尿、腎機能の程度などの状

       態により、それに対応する運動制限、食事療法が行われます。定期的な腎機能検査で、腎機能の低下の徴

       候や、早期発見が重要になりますので、専門医の指示に確実に従って、日常生活を送る必要があります。









       
* 症状の激しい症候;腹水や胸水が高度で消化器症状が強い。心嚢液の貯留により心運動に障害を来た

       す。浮腫が高度で持続しており、感染の危険性が高い時など。


       
* ステロイドの副作用;長期の投与では、中心性肥満(満月様顔貌、バッファローハンプ/牛肩)や多毛、下

       腹部から大腿部にかけて皮膚線条、低身長(特に小児)なども認められる事があります。感染し易い、耐糖

       能異常(ステロイド糖尿病/尿糖) 骨粗鬆症(骨塩量)、消化管出血(ステロイド潰瘍/便潜血)、白内障、緑

       内障(眼圧)、ステロイドうつ病などが確認される事があります。


       
* ループ利尿薬;フロセミド(ループ利尿薬)はNKCC2(クローニングされた膜12回貫通型の蛋白/輸送体)

       を阻止しNa+、K+、Cl−の再吸収を抑制し、強力な利尿効果を発現します。

       Mgの場合CaやPとは異なり、骨への出入は無く、吸収された殆んど全てが腎臓から排泄されます。糸球体

       を濾過されたMgを最も多く(60〜70%)再吸収するのが、 ヘンレループの太い上行脚であり、遠位尿細管

       におけるCl輸送により作られる尿細管内の電位差の変化により再吸収が左右されます。


       
* NKCC2;ヘンレ係蹄から続く太いネフロンセグメントの水透過性は低い。このセグメントでは、塩化ナトリウ

       ムの再吸収が盛んに行われ、それにより管腔液は低張になるため、希釈セグメントと呼ばれます。 この部位

       での塩化ナトリウム再吸収は、髄質の高浸透圧形成の主機能です。 塩化ナトリウム再吸収は管腔膜に存在

       するNa+、K+、2Cl−、共輸送体により行われる。NKCC2はクローニングされた膜12回貫通型蛋白です。

       (糸球体機能模式図も御参考にご覧下さい)










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