半月体形成性腎炎・尿と病気

                                半月体形成性腎炎/尿と病気
尿のメモ帳 ページへ
 home(尿と病気)/半月体形成性腎炎        半月体形成性腎炎/尿と病気
半月体形成性腎炎

半月体形成性腎炎/尿と病気


     
§1  半月体形成性腎炎とは/半月体形成性腎炎/尿と病気


      
半月体形成性腎炎は、糸球体ボーマン腔に付着増殖する細胞成分や線維成分が(生検で確認される形が

      )丁度、半月の様に見えるところから、命名されている疾患です。 半月体形成性腎炎は病理組織学的病名

      です。症候は腎炎の中で、最も重篤な経過を辿る急速進行性糸球体腎炎症候群を呈する事が多い、問題

      の疾患です。この急速進行性腎炎症候群は全てに半月体を認めるわけではありませんが、半月体形成性

      腎炎と急速進行性糸球体腎炎は しばしば混同して用いられている場合があります。 半月体形成性腎炎は

      管外性増殖性腎炎、 壊死性半月体形成性腎炎とも呼ばれております。 一般的に、腎生検でボーマン腔に

      認められる半月体が50%以上あれば半月体形成性腎炎と診断されております。 (どの程度の率で半月体

      が認められれば、半月体形成性腎炎というのかの基準はありません。)











     
§2  半月体形成性腎炎の半月体形成機序/半月体形成性腎炎/尿と病気


細胞性半月体形成期・初期には、糸球体

毛細血管壁(糸球体基底膜)が、 壊死を

起こし、 血管壁が破綻する事により、血

液成分はボーマン腔内に溢流します。ボ

ーマン腔では、血中単核球、ボーマン嚢

上皮細胞の活性化されて、 細胞成分の

増殖が 確認される様になります。 (
細胞

性半月体形成時期
) その 増殖細胞から

線維成分が出現(
線維・細胞性半月体形

成時期
)するようになると、 ボーマン腔は

徐々に繊維成分に置き換わり、糸球体は

ついには硬化 (
硬化糸球体)して糸球体

の機能が消失してしまいます。






     
§3  半月体形成性腎炎の症状/半月体形成性腎炎/尿と病気


       急速進行性腎炎症候群の症状を認める事が多い(
尿関連症状など)。腎臓関連以外の症状としては、半月

       体形成性腎炎を惹起するに至った原因疾患により、それに随伴する症状が認められます。全身性エリテマ

       トーデスでは、蝶形紅斑(顔面)、 脱毛傾向、 レイノー現象などを認め、 顕微鏡的多発血管炎では、紫斑、

       紅斑などの皮膚症状を認め、 呼吸器障害などでは、 肺胞出血による血痰、喀血、呼吸困難などを、また、

       消化器障害では、下血、末梢神経障害(四肢の痺れ)などが認められます。半月体形成性腎炎と肺胞出血

       を同時に併発しますと、肺腎症候群という重篤な状態に至ります。





     
§4  半月体形成性腎炎の治療/半月体形成性腎炎/尿と病気


       半月体形成性腎炎は予後不良であり、自然経過(改善のために免疫抑制療法があります)では発症1年以

       内に殆んどのケースで腎機能が廃絶してしまい、透析腎移植を実施しなければ死亡します。免疫抑制療法

       (自己抗体産生などの産生異常や炎症を改善する目的で選択される→半月体形成性腎炎の成因阻害目的)

       には@パルス療法、 A多剤併用療法(副腎皮質ステロイド大量療法+免疫抑制剤+抗凝血薬)@orAに血

       漿交換療法を併用する。方法があります。腎不全が高度であれば透析療法も同時に行われます。半月体形

       成性腎炎は治療を遅延させてしまうと、 腎不全の進行を抑制する事が困難になります。 極力の早期発見し、

       腎機能の低下が軽度な段階で治療にかかることにより、腎機能の改善が期待できるとされております。

       ANCA関連腎炎を早期発見して早期に治療可能になっている環境下では、急速進行性糸球体腎炎の治療開

       始半年後の透析導入率は1998年の30、3%(死亡率22、5%)から2002〜2005年には21、9%(死亡率

       14%)と透析導入率は有意改善し、 死亡率は有意とまでは言えないが改善傾向を確認できると報告されてお

       ります。その他改善の理由として免疫抑制療法の改良があげられております。





     
§5  半月体形成性腎炎の参考事項/半月体形成性腎炎/尿と病気


       半月体形成性腎炎は染色のパターンが3種類(糸球体に結合する免疫グロブリン補体の結合パターン)に

       分かれます。 半月体形成性腎炎発症機序には、この染色のパターンと関連が有る事が分かっております。


       * 染色方法(蛍光加工をしたIgGなどの免疫グロブリンや補体を、糸球体に添加して反応を促がす)


       
糸球体毛細管血管壁の染色パターン

染色パターン
線状パターン
linear pattern
顆粒状パターン
granular pattern
微量免疫パターン(殆んど染色しない)
anti-immune pattern
抗糸球体基底膜抗体が関連 免疫複合体が関連 抗好中球細胞質抗体が関連
anti-glomerular basement menbrane(抗GBM) immune complex(IC) anti-neutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)
関連疾患
グッドバスチャー症候群
ウェゲナー肉芽腫症
全身性エリテマトーデス
シェーンライン-ヘノッホ紫斑病性腎炎
膜性増殖性糸球体腎炎
@好中球細胞質アズール顆粒に含まれるミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対する抗体(MPO-ANCA)が関連する腎炎
A好中球細胞質アズール顆粒に含まれるプロティナーゼ3(PR3)に対する抗体(PR3-ANCA)が関連する腎炎










     
* ANCA;anti-neutrophil cytoplasmic antibody 抗好中球細胞質抗体


     
* 半月体;糸球体ボーマン腔に付着増殖する細胞成分や線維成分が(生検で確認される形が)丁度、半月の様

     に見えるところから、命名されている。 糸球体係蹄壁害(管外性)の増殖によるボーマン嚢腔内を占拠する様な

     病変。 上皮細胞の増殖や炎症細胞の浸潤からなる細胞性半月体、基底膜様物質や膠原線維の増生が加わっ

     た線維性細胞性半月体、細胞成分は消失して基底膜様物質や膠原線維が主体をなす線維性半月体がある。




















 home(尿と病気)/半月体形成性腎炎


◎ 尿の目視外観や匂い、排尿量、排尿感覚など五感に関連した項目
尿性状 排尿量 排尿困難関連疾患 残尿感関連疾患
血尿 多尿 尿路結石 前立腺肥大症
泡立ち尿 乏尿 尿道結石 前立腺炎
濁り尿(混濁尿) 無尿 膀胱結石 膀胱炎
匂い尿 尿閉 前立腺肥大症 神経因性膀胱
尿一般 神経因性膀胱 尿路感染症
前立腺癌 膀胱結石
.ヘルペス
膀胱癌
尿道癌
排尿一般 誤判断症状(他疾患と間違い易い症状) その他
排尿困難 背部・側腹部痛 残尿感
排尿痛 下腹部痛 頻尿
一般排尿症状 発熱 尿もれ(尿失禁)
過活動膀胱
骨盤臓器脱
腹圧性尿失禁
切迫性尿失禁
溢流性尿失禁
◎ 尿に関連した尿周辺情報
尿関連検査 その他の関連疾患・情報
尿検査 腎機能検査 前立腺肥大症 尿路上皮癌
尿流動態検査 内視鏡検査 前立腺癌 膀胱腫瘍/膀胱癌
腎盂〜尿道検査 腎盂尿管癌
排尿機能検査 内分泌機能検査 尿道腫瘍
前立腺検査 副腎皮質腫瘍
一般画像検査 尿路結核 腎癌(腎臓癌)
その他検査 血液検査 尿路感染症
腎動静脈瘻
腎梗塞
その他の尿関連情報 腎盂腎炎 腎静脈血栓症
尿のメモ帳 透析 急性糸球体腎炎 腎嚢胞
経尿道的手術 慢性糸球体腎炎 腎動脈瘤
化学療法 腹腔鏡下手術 IgA腎症 腎硬化症
放射線療法 腎臓移植 急速進行性糸球体腎炎 腎不全
尿路変更 ループス腎炎 ネフローゼ症候群
尿細管・間質性腎炎 微小変化型ネフローゼ
膜性増殖性糸球体腎炎 痛風腎
半月体形成性腎炎 多発性嚢胞腎
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
糖尿病
糖尿病性腎症 クラミジア感染症
尿道炎非クラミジア非淋菌性
慢性腎臓病CKD 間質性膀胱炎



(C)allright reserved -尿と病気-